CCS特集2017年夏:分子機能研究所

複合体構造を精密解析、ONIOM法と独自に連携

 2017.06.21−分子機能研究所は、米ハイパーキューブの分子モデリングシステム「HyperChem」を基盤に、独自にSBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)創薬支援パッケージを開発・販売している。ターゲットタンパク質のホモロジーモデリングから薬物分子とのドッキングシミュレーションまでを高精度に行うことができるのが特徴。ハイレベルの計算化学で結合親和性を評価する手法が注目されている。

 同社の製品は、「Homology Modeling for HyperChem」と「Docking Study with HyperChem」がメインで、量子化学計算プログラム「Gaussian16」のONIOM法を利用するためのインターフェースも用意している。利用に必要となるHyperChemも同社が販売権を持っており、合わせて提供することが可能。

 とくに、モデリングしたターゲットに対してQM/MM(量子力学/分子力学)法に基づくONIOM計算を行うことで、高精度な薬物−受容体複合構造を解析できることがポイント。フリー版のドッキングソフトでは、PDB(プロテインデータバンク)から得られる複合体構造とは官能基の向きが逆になったりして、ドッキングモードが異なってしまう場合も多いが、同社のソフトを使えば再現性の問題はほぼなくなるという。ライブラリーを1万以下にまで絞り込んだ状態からの高精度ドッキングで真価を発揮するということだ。

 Gaussian16には、水溶液中の結合自由エネルギーを解析できる“ONIOM-PCM法”が組み込まれている。計算コストが高く気軽に利用しにくいが、実験値と直接比較できるようになるため、今後さらに精密な分子設計が可能になるという期待が大きい。

 一方、HyperChemは、WindowsなどのPC環境でモデリング&シミュレーションのひととおりの機能が実行できる統合ソフト。1980年代後半から日本で販売されてきたため、多くのユーザーベースがある。同社のパッケージを使用するうえでは、少し古いバージョン6以降で問題ないということだ。


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