CCS特集2017年冬:伊藤忠テクノソリューションズ

ELN需要に総合力で対応、データ活用の基盤整備

 2017.12.05−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、需要が急速に伸びている電子実験ノートブック(ELN)市場での事業展開をさらに強化する。メジャーなソリューションをマルチベンダーで扱う格好のポジションを生かし、CTCの総合力を利用しつつ、多様な顧客ニーズを満たす最適なシステムをつくり上げていく。

 同社は今年4月、製薬企業などを専門領域としていた子会社「CTCライフサイエンス」(CTCLS)を吸収・統合し、新たにライフサイエンス事業部を設立して、さらなる事業拡大を目指している。製薬業のより幅広いニーズに対応し、創薬研究だけでなく、非臨床試験、申請・市販後といった川下領域、さらにCMC・製造や、ITインフラ系のサービスまでをカバー。テクノロジー主導で、業種を超えた共通課題に対するソリューション提供でも実績が出てきている。

 ELNについては、今年引き合いが急増しており、来年に向けての重点目標にも掲げている。製品としては、化学合成系で実績豊富なBIOVIA Workbook(バイオビア社)と、生物系実験で多用されるE-Workbookスイート(IDBS社)を提供しているが、これらは製薬企業におけるELNの全社展開を見越した機能強化を行い、業務領域を広げることに力を入れている。今年度も新規受注は増えており、来年度の引き合いもすでに多く寄せられているということだ。

 とくに、IDBS製品はウェブ機能が充実してきており、ブラウザーでの利用が進展。オンプレミスとクラウドで共通のシステムが動作し、ユーザー側で利用できるデバイスを選ばないというメリットが評価されている。

 また、CTCはELNだけでなく、周辺アプリケーションとして、化合物情報の登録・参照系(バイオビア)に加え、自社開発の試薬管理システムRAKTIS、法規制化合物チェックシステムRegSysなどとの連携ができることも強み。クラウドニーズにも対応し、専用のBIOVIA Notebookも扱っている。

 今年引き合いが増えているのは、製薬企業だけでなく、化学・材料系や大学などからの関心が高まっていることが背景にある。とくに、AI/機械学習に取り組むため、データを収集・蓄積する基盤としてELNに注目しているという。もちろん、製薬業でもデータ駆動型の研究スタイル、蓄積したデータの利活用への関心は高く、それもELNへのニーズを押し上げている。


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