日立製作所が材料インフォの実用化を支援

クラウド上で分析環境、AI駆使して特性予測や材料探索も

 2017.10.14−日立製作所は11日、マテリアルズインフォマティクス(材料インフォマティクス、MI)に基づく研究開発支援サービスを製品化し、「材料開発ソリューション」として11月1日から提供開始すると発表した。計算や実験で得られた材料データをクラウド環境で分析するための「材料データ分析環境提供サービス」、分析システムの利用をサポートする「材料データ分析運用サポートサービス」、研究内容やデータ様式に沿って分析基盤を顧客に合わせる「材料データ分析アプリカスタマイズ」、人工知能(AI)を活用して分析を代行する「材料データ分析支援サービス」などのメニューを用意している。企業におけるMIの実用化を具体的に支援するサービスはまだあまり例がなく、反響が注目される。

 日立はすでに、高エネルギー加速器研究機構に対し、MIを活用したデータ分析システムの開発支援を行った実績があるほか、複数の民間企業とも共同研究や実証事業を推進してきた。今回のソリューションは、これらのプロジェクトから得られた材料特性の予測などのノウハウを製品化したもので、IoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアの1つに位置づけられている。

 「材料データ分析環境提供サービス」は、MI研究を行うためのシステム環境をクラウド形態で提供するもの。材料に関する計算データや実験データを高速に分析し、地場や温度、圧力などによって、材料特性の変化がいつ、どの箇所で発生するかを、ウェブブラウザー上でグラフ化や3次元表示によって理解することができる。生データの高速分析を可能にするため、高速なデータベースや、データ統合・分析基盤ソフトウエア「Pentaho」、地理情報システム「GeoMation」(材料データの変化などを視覚化するグラフィックエンジンとして使用)、オープンソースソフトウエア(OSS)を活用する。研究内容やデータ様式に合わせてシステムをカスタマイズすることも可能だという。材料特性の変化を容易に把握できることから、材料に関する知識を効率的に見いだすことが可能になるほか、ウェブブラウザーで簡単にデータを確認できるため、情報共有も円滑になる。

 一方、「材料データ分析支援サービス」は、日立が顧客からデータを預かり、機械学習やAIなどを活用して、データ分析を代行するサービス。形や構造がある程度決まっている無機材料だけでなく、組み合わせの自由度が高い有機材料にも対応する。学習に基づいて多角的に材料特性を推測するほか、期待する材料特性を実現するための条件を探索し、今後の実験候補を提示することも行うという。

 同社では、11月1日と2日に東京国際フォーラムで開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO」で、今回のソリューションを紹介する。

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<関連リンク>:

日立製作所(材料開発ソリューション紹介ページ)
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/app/mi/

日立製作所(IoTプラットフォーム Lumada 製品情報ページ)
http://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/about/index.html


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