パーキンエルマーのクラウド型ELNが国内市場で好調

自由な画面構成で幅広い適用、エンタープライズ版も実績

 2017.11.02−パーキンエルマーインフォマティクスが提供するクラウド型電子実験ノートブック(ELN)が好調だ。ワールドワイドの導入実績はすでに数百社・機関に達しており、日本国内では製品体系を一新して今年4月から本格的に販売を開始したが、大学や民間企業での採用が急ピッチで進んできている。クラウド版であるため毎月のように機能強化が実施されており、国内ユーザーが要望した機能も実装されてきているという。使用権は「ChemOffice Professional」にバンドルされており、国内の多くの大学がライセンスを所有している状態になるため、来年にかけて一気に普及するとも期待される。

 同社は、オンプレミス型のELN市場をリードするベンダーで、製薬企業向けの「E-Notebook」は国内トップシェア。これに対し、クラウド型ELNは2013年に買収したWingu社の「Elements」がベースで、日本語が入力できないなどの制約があったため、実績は欧米が先行していた。

 その後、順次機能強化を進め、製品名を「Signals Notebook」に変えて本格的に日本市場に投入したのが今年4月。世界では、今年夏から旧「Elements」ユーザーの「Signals Notebook」への移行も進んでいる。

 クラウドで動作するELNであるため、利用者側でソフトをインストールする必要はなく、インターネットとブラウザーがあれば、PCでもタブレットでも機種やOSに制限はない。また、画面構成が自由で、化学・薬学以外でもさまざまな分野の研究に活用することが可能。分析機器のデータや各種画像・動画ファイル、オフィス文書などを含めて実験記録を丸ごと保管し一元管理することができる。クラウドの利点を生かし、情報共有のプラットホームとしても活用しやすい。

 ELNとしての機能は過不足なく揃っており、実験の計画・記述から、実験結果の記録・後処理・分析まで、一連の処理を効率良く行うことができる。とくに、化学者が使い慣れたChemDrawで構造式や反応式を記述できることが特徴で、量論表による秤量値の自動計算など作業性に優れている。実験項など文章を入力する部分は、テンプレートとオートテキストの使用により、選択式で記入できるようにすることも容易だという。

 また、検索機能は添付ファイルも含めてキーワード検索ができるほか、フィルタリングで絞り込むことも可能。また、ノート内に記述された反応式を一覧表示する“Reaction View”機能が搭載されている。これは、実験ノート内でどのような反応を扱っているのかを簡単に確認したいという国内ユーザーからの要望を反映したものだということだ。

 製品構成としては、ChemOffice Professionalにバンドルされた「Signals Notebook Individual」(パーソナル版)と、企業向けに管理コンソールが追加され、ユーザー管理機能などが強化された「Signals Notebook」(エンタープライズ版)の2種類がある。エンタープライズ版はユーザー数によるボリュームディスカウントがある。国内では、すでにChemOfficeのサイトライセンスを持つ大学がパーソナル版を採用するところが増えているが、エンタープライズ版も民間企業と大学で導入実績をあげている。

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<関連リンク>:

パーキンエルマーインフォマティクス(日本語トップページ)
http://informatics.perkinelmer.co.jp/

パーキンエルマーインフォマティクス(Signals Notebook 製品紹介ページ)
http://informatics.perkinelmer.co.jp/products/signals.html


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