CCSニュースファイル
   2020年4−6月

  • Appierが新型コロナウイルス対策でのAI利用の重要性を解説
      2020.04.02−AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア)は3月31日、チーフAIサイエンティストのミン・スン(Min Sun)氏によるプレス向けセミナー「医療、ヘルスケア分野でのAI利用の重要性」をオンラインで開催した。世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症に対して、AIに何ができるかを解説、今後の提言も行った。スン氏によると、予防や診断で有用な機能性が認められるため、積極的にAIを取り入れるべきだと述べた。
  • ダッソー・システムズが材料設計支援「Materials Studio」の最新版
      2020.04.04−ダッソー・システムズ(3DS)は、材料設計支援システムの最新版「Materials Studio 2020」(MS2020)をリリースした。電池材料や合金開発をサポートするワークフローや、第一原理計算のための新しい交換相関汎関数の追加、古典力場計算用のイオン液体向け新パラメーターの追加、機能強化した高精度力場COMPASS IIIの搭載などの新しい機能が盛り込まれている。また、国内ユーザーの要望に基づき、日本法人で開発した機能が組み込まれたことも大きな特徴となる。今後も日本のユーザーの声を製品に反映させたいとしている。
  • インフォコムが免疫レパトア解析支援ソフト、TCR/BCR解析を効率化
      2020.04.10−インフォコムは8日、欧米の大手製薬企業向けに遺伝子解析ソフトを提供する米MiLaboratories社(本社・カリフォルニア州、ユーリ・ニコルスキーCEO)と販売代理店契約を締結し、免疫レパトア解析ソフトウエア「MiXCR」(ミクサー)などの製品の販売および受託解析サービスを開始すると発表した。コロナウイルスを含む新型ウイルス感染症の病態解明や治療薬の有効性評価をはじめ、がん、白血病、悪性リンパ腫の診断精度向上への活用が期待されるという。
  • 米ベンダーが新型コロナウイルス研究を支援する取り組み
      2020.04.15−新型コロナウイルス感染症の拡大が世界で最も進んでしまっている米国で、主要CCSベンダー各社が、研究グループを支援するなどの取り組みを打ち出している。内容はさまざまだが、現時点の状況をまとめてみた。学術データベースサービスを中心とするケミカルアブストラクツサービス(CAS)、クラリベイト・アナリティクス、エルゼビア、モデリング&シミュレーションを主体とするダッソー・システムズ、シミュレーションズプラス、さらにNVIDIA、アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾンウェブサービス(AWS)の取り組みを紹介する。
  • AWSがクラウドVPNでシオノギグループのテレワーク実現
      2020.04.25−アマゾンウェブサービス(AWS)は23日、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で企業が業務を継続するためのリモートワーク支援サービスに関する記者説明会をウェブで開催、その中で同社のクラウドVPN(バーチャルプライベートネットワーク)がシオノギグループのテレワークを実現した事例を紹介した。全社テレワーク初日に判明した問題を解決し、わずか3日間でアマゾンへの切り替えに成功したという。
  • 新型コロナの影響で国内CCSベンダーアンケート、新規顧客開拓に苦慮
      2020.04.29−新型コロナウイルス感染症が拡大し、政府が緊急事態宣言を発布している中、CCSnewsではCCSベンダー各社にアンケートを実施、25社から回答を得た。学会での展示やセミナー・ユーザー会などのイベントが開催できなくなった影響、顧客のテレワークへの対応やその影響、業績に及ぼす見通し、新型コロナ対策などについて聞いた。ベンダーによって決算時期に違いがあるものの、今年度はほぼ終わりつつあるタイミングだったため、3月期に区切れば影響は小さいが、顧客訪問や対面ができず営業活動が厳しく制限されているため、2020年度にかなり大きな影響が及ぶことが懸念されている。
  • SASがTOYO TIREのMI導入を支援、機械学習/逆問題解析可能に
      2020.04.30−SAS Institute Japanは28日、TOYO TIREが研究開発にマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入することを支援し、データマイニングと機械学習のためのソリューション「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」および「SAS Optimization」を提供したと発表した。自動車タイヤ用ゴム材料の開発技術に採用し、保有しているデータを最大限有効活用することで、開発の加速と製品の高性能化を図る。
  • パトコアが新型コロナ支援でオンライン化学教育ツールを無料開放
      2020.05.01−マネージメントサービス(MSC)グループのパトコアは、新型コロナウイルス感染症拡大に対する学校教育への支援として、オンライン化学教育ツール「Zosimos」を9月末まで無料で提供している。同社の提携先であるハンガリーのケムアクソン社が開発したSaaS形式のサービスで、海外の大学などでの利用実績はあるが、開発中の製品として国内では紹介していなかった。今回、国内の大学はオンラインでの授業を当面行わなければならない状況になっているため、今後は引き合いがあれば積極的に紹介していくことにしている。
  • 米シミュレーションズプラスが仏Lixoftを買収、医薬品開発モデリング基盤
      2020.05.07−米シミュレーションズプラス(SLP)は、4月1日付で仏Lixoftを買収した。薬物動態研究のためのPKPDモデリング&シミュレーション技術を持つベンダーで、SLPの既存製品ラインアップを補完し、とりわけコンサルティングサービスの範囲を拡大することが期待されている。完全子会社となり、Lixoftのブランドは維持される。買収費用は最大1,650万ドルと見積られており、SLPの2021年度売り上げに対して350万ドル以上の増収をもたらすという。
  • 分子機能研究所が新型コロナウイルスの医薬候補化合物、インシリコ創薬
      2020.05.09−分子機能研究所(辻一徳代表)は、バーチャルドッキングシミュレーションによるインシリコ創薬を利用して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に効果が期待できる生物活性化合物を発見し、医薬品候補リストとして公開したと発表した。この研究成果が5月1日にFEBS Open Bio誌に受理され、オープンアクセスでオンライン出版されたもの。高速な「rDock」と精度の高い「AutoDock Vina」の2種類のプログラムを利用してスクリーニングしており、最終的に64種類と29種類の化合物を選び出してリストにしている。新型コロナウイルス感染症に対するインシリコ創薬を利用した研究で、正規に査読審査を経て受理された初の報告例になるという。あくまでもコンピューターシミュレーションの結果だが、実際にアッセイ試験を行うことで、有望な化合物がみつかる可能性があるとして注目される。
  • Axcelaedが共創型アウトソーシングでシュレーディンガーと共同プロモ
      2020.05.27−Axcelead Drug Discovery Partners(本社=神奈川県藤沢市、池浦義典社長)は26日、シュレーディンガーと日本国内における創薬支援サービスの提供で共同プロモーションを開始したと発表した。欧米の製薬業で広がっている“共創型アウトソーシング”モデルの適用を目指していくという。
  • 横浜市大らのグループが「例外」をみつけるAI、光吸収特性で実証
      2020.05.29−横浜市立大学大学院生命医科学研究科の寺山慧准教授、理化学研究所革新知能総合研究センター分子情報科学チームの隅田真人特別研究員および津田宏治チームリーダー、物質・材料研究機構(NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の田村亮主任研究員らの共同研究チームは28日、これまで苦手とされてきた「例外」を発見できる人工知能(AI)を開発、実際に例外的な光吸収特性を持つ有機化合物を複数発見することに成功したと発表した。複数の特性を考慮した上で例外的な特性を持つ物質を効率的に探索することが可能なため、かつてない機能を持った材料創製や新たな基礎研究の端緒を開く可能性があるとして注目される。
  • セールスフォースが武田薬品に「Health Cloud」、パーキンソン病患者向け
      2020.05.30−セールスフォース・ドットコムは29日、地域医療課題解決に向けて武田薬品工業と神奈川県が進めている臨床研究に対し、技術提供を行うと発表した。これは、パーキンソン病患者における一気通貫のオンライン診療・服薬指導・処方薬配送の実現を目指すもの。患者情報を包括的に管理・分析できる機能を含む「Salesforce Health Cloud」を武田薬品に提供する。同システムの国内の導入は初めてだという。
  • アフィニティサイエンスが量子化学計算「AQコンサル」サービス開始
      2020.06.03−アフィニティサイエンスは2日、量子化学計算を主な対象とした受託研究/コンサルティングサービスを「Affinity Quantum Chemistry Consulting」(AQコンサル)の名称で開始すると発表した。機能性材料、医薬、農薬、食品などの研究開発における課題の解決を計算科学の側面から実践的に支援する。スポット的な計算受託だけでなく、中長期にわたりコンサルティングを提供するプロジェクト契約にも対応していく。
  • 東大生研・溝口教授らがAIで励起状態スペクトルを予測、計算より数百倍
      2020.06.05−東京大学生産技術研究所の溝口照康教授、清原慎大学院生(研究当時)、産業技術総合研究所の椿真史研究員らの研究グループは、人工知能(AI)を利用して物質の励起状態を正確に予測する手法を開発した。時間のかかる理論計算を行うことなく、励起状態の電子構造を知ることができるため、物質の構造解析や環境物質調査、医療診断などに関する研究を加速させると期待される。詳しい研究成果は、3日に英国Nature Publishing Group発行の「npj Computational Materials」誌オンライン版に掲載された。
  • 富士通九州システムズが「SCIGRESS」最新バージョン3を発売
      2020.06.25−富士通九州システムズ(FJQS)は24日、計算化学統合プラットフォーム「SCIGRESS」の最新バージョン3を発売したと発表した。低分子、高分子、結晶、アモルファスなど多岐にわたるモデリング機能を搭載し、分子軌道法(MO)、分子動力学法(MD)、密度汎関数法(DFT)などの計算化学手法を駆使して、新材料・新素材の開発を支援する機能を持つ。今回は、外部プログラムとの連携がさらに強化されて実用性が高まっている。
  • 英ドットマティクスが米バイオブライトを買収、実験室のデータ自動化
      2020.06.29−英ドットマティクスは25日、実験室のデータ自動化プラットフォームを開発している米バイオブライトを買収したと発表した。実験データを人手によらずドットマティクスのインフォマティクスプラットフォームに送り込み、データの蓄積・管理や分析を自動化することが可能。人工知能(AI)/機械学習のための基盤としても役立つ。“Lab of the Future”(未来の実験室)のコンセプトで、顧客に対し新しい価値の提供を示していく。
  • 無機結晶データベース「ICSD」がAPI機能を提供、MI研究で注目
      2020.06.30−独FIZ Karlsruhe(カールスルーエ)が提供している無機結晶構造データベース「ICSD」に、今年2月、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)機能が追加され、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究で注目を集めている。人工知能(AI)/機械学習を利用した材料研究のための良質なデータ源となるため。通常の契約ではひとつずつデータを取得する必要があったが、APIを使えばスクリプトを書くことで大量のデータを一度にダウンロードすることが可能。国内で取り扱う化学情報協会にも問い合わせが相次いでおり、まずは1ヵ月の無料トライアルでニーズに応えている。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • フォーティネットが新型コロナに便乗したサイバー攻撃を報告、新AI製品も
      2020.04.01−フォーティネットジャパンは3月26日、オンラインで記者説明会を開催、最新の脅威動向や人工知能(AI)を活用した新製品などについて発表した。合わせて、新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中で、それに便乗したサイバー攻撃が行われていることを確認したとして、その概要を説明した。
  • ServiceNow Japanが新型コロナ対策アプリを無償提供、事業継続を支援
      2020.04.16−クラウドベースのデジタルワークフローを提供するServiceNow Japanは15日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、緊急事態下での企業や行政の円滑な事業継続を支援するため、きょう16日から「危機管理支援アプリ日本語版」を無償で提供すると発表した。テレワークが長期化しても、部門や従業員の状況や事態をリアルタイムに把握し、個々の案件に応じて適切に対応することを可能にする。同社のシステムを利用している既存ユーザーは即時に、新規のユーザーも3日間で利用を開始することができるという。
  • BlackBerry CylanceがAPT攻撃に関する脅威レポート、攻撃手法巧妙化
      2020.05.01−BlackBerryは4月23日、「BlackBerry Cylance 2020年脅威レポート」の日本語版を公開したと発表した。主に、APT(高度で継続的な脅威)攻撃と呼ばれる標的型攻撃を対象に、その攻撃技術と戦術を検証したもの。2019年のトレンドとして、国家の支援を受けた攻撃グループの活動が活発化していること、危険な攻撃ツールが容易に入手できるようになってきていること、自動車業界と小売業界を標的とする攻撃が目立っていることなどを指摘している。2020年の予想としては、クライムウエア、ランサムウエア攻撃が引き続き増加し、企業や政府機関が狙われる傾向が続くこと、国家支援による標的型攻撃がさらに拡大するとみている。

 

 


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