2021年冬CCS特集:ブルカー

実験機器からデータ回収、バイオ描画ツールも提供へ

 2021.12.01−ブルカーは、核磁気共鳴装置(NMR)をはじめとする高性能な科学機器、および分析・診断ソリューションと連携するかたちでソフトウエア事業にも投資している。クラウド型電子実験ノートをいち早く製品化した米アークスパンとの提携・出資そして買収、またスペインのメストレラボへの出資などを実施。ソフトウエア製品群の機能強化と統合化を推進してきている。

 同社は統合的なラボデータ管理ソリューションを実現している。NMRソフトの「TopSpin」を使って測定・処理したデータを、ネットワーク経由で「Mestre Mnova」で自動的に回収し、研究情報管理システムの「Arxspan」に送り込む仕組みである。ワークフローを介してラボデータを収集・蓄積し、電子ノートで統合化するという一連の流れができあがった。

 ラボ内の科学機器はオフラインで設置されているものもあり、ネットワークが別系統の場合もあるため、自動化の遅れが指摘されることも多かった。このソリューションでは、資料を機器にセットして帰宅すれば、朝には実験データが電子ノートに登録されているため、生産性が大幅に向上し、ミスも減らせるというメリットがある。実際、研究開発のデジタルトランスフォーメーション(DX)を図る目的で引き合いが増えており、電子ノート内のデータを任意の設定で抽出・転送する機能を利用し、機械学習に活用する使い方も注目されている。富士通が販売パートナーであり、富士通が提供する「デジタルラボラトリープラットフォーム」(DLP)を構成する要素として、用途の広がりも期待できる。

 また、Arxspanの新製品としてリリースされた「BioDrive」は、核酸、ペプチド、抗体、遺伝子治療など創薬モダリティ領域に対応した作図ツールで、シーケンスデータの作成・編集・表示・解析、プラスミド設計支援、ライゲーション支援、電子ノートとの連携による自動監査証跡機能などを備えている。電子ノート内でブラウザー上で利用できるほか、デスクトップソフトとしても提供可能。

 Arxspanはケミストリーエンジンとしてケムアクソンの「JChem」を利用しており、構造式作図ツールは「MarvinJS」と「ChemDraw」(共に別途ラインセンスが必要)をサポートしているが、来年にはフリー作図ツール「ChemDoodle」が利用できるようになる。


ニュースファイルのトップに戻る