プロテインメトリックスが日本事務所開設でエンタープライズ版に力

バイオ医薬品向け質量分析ソリューション、解析手順など標準化

 2022.01.12−バイオ医薬品研究開発のための質量分析ソリューションを提供している米プロテインメトリックス(本社・カリフォルニア州、エリック・カールソン社長兼CEO)が日本事務所を開設し、対日戦略を強化した。バイオ医薬品を構成するタンパク質の特性評価とプロテオミクス解析のためのソフトで、各社の質量分析計と連携できる強みを生かし、国内でも機器ベンダーとの協業を拡大し、エンタープライズ版の普及を目指していく。

 同社は、2011年の設立。社員数は世界で約50人だが、ここ数年で倍増しており、成長性・将来性を評価されるかたちで昨年12月に米インサイトフルサイエンスに買収され、グループの一員となった。インサイトフルサイエンスは、インサイトパートナーズの投資会社として生命科学を中心とする研究開発分野のポートフォリオ拡大を進めており、GraphPad Prism、SnapGene、Geneious Prime、Dotmatics、nQueryなどを傘下に収めている。買収されたベンダーは独立性を保って事業を進めており、プロテインメトリックスの体制にも変化はないという。民間企業で150社、大学など300の研究機関への導入実績がある。

 さて、バイオ医薬品は分子量が大きく構造も複雑で不均一性を内包するため、研究から開発までの各工程で高解像度の質量分析によるさまざまな特性解析が実施される。そこで、機器データを読み込み、解析・可視化するのが同社のソフトで、デスクトップで利用できる「Byos」と、エンタープライズ版の「Byosphere」の2種類がある。データ解析機能は共通で、目的に応じてやりたいことをアイコンで選ぶと、テンプレート化されたワークフローが自動的に働くため、データサイエンスの専門知識不要で簡単に利用することができる。標準ワークフローのほか、ユーザー定義でワークフローを作成することも可能。利用範囲も、創薬研究からCMC分野の製造品質管理まで幅広く、規制に対応したGxP対応の運用でも実績がある。

 とくに、質量分析計のメーカー各社と技術提携しており、1つのソフトで複数の機器に対応できることが特徴。サーモフィッシャーサイエンティフィック、サイエックス、ブルカー、ウォーターズ、アジレント・テクノロジー、島津製作所、MOBLionなどの機器が利用できる。エンタープライズ版の「Byosphere」を使えば、解析ワークフローやレポート作成のスタイルを標準化して、ラボ内で共有することが可能。機器データの収集から解析までを自動化することができるため、研究効率が格段に向上する。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)による外部システムとの連携も考慮されている。

 国内の事業体制としては、すでにフィルジェン(名古屋市)が販売代理店として活動している。今回のプロテインメトリックス日本事務所は日本と韓国をカバーし、技術サポートスタッフを採用してユーザーとのコミュニケーションを図っていく。同社のソフトは、質量分析計の購入時に一緒に導入されることも多いため、機器メーカーとの協業のかたちでも拡大を図ることにしている。

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<関連リンク>:

米プロテインメトリックス(トップページ)
https://proteinmetrics.com/


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