富士通と理研が「富岳」活用した次世代IT創薬技術の共同研究

中分子・高分子薬の創薬プロセス、シミュレーションとAIを融合

 2020.05.18−富士通と理化学研究所は17日、スーパーコンピューター「富岳」を利用した次世代IT創薬技術の共同研究を開始したと発表した。薬効の高さや副作用の少なさを特徴とする中分子薬および高分子薬を対象に、標的タンパク質と抗体などの複合体解析、分子の大規模な構造変化などを高速かつ高精度に予測できる技術開発を、2026年度末までに達成することを目指す。

 近年、低分子薬を対象にしたIT創薬技術が発展してきているが、中・高分子薬の創薬プロセスにおいてもIT活用による効率化への期待は高い。今回の共同研究において、富士通は複雑なデータから定量的特徴を教師なしで正確に獲得するAI技術「DeepTwin」(ディープツイン)をタンパク質に適用。大規模な構造変化を高精度かつ少ない計算量で再現する理研の新しい創薬シミュレーション技術と組み合わせ、「富岳」上で分子動力学シミュレーションと組み合わせた融合型AIを効率的に動作させる。これにより、分子動力学シミュレーションの高精度化と高速化を図り、ターゲットとするタンパク質の構造変化を広範囲に予測する革新的な技術の確立を図るという。

 両者は、中分子薬や高分子薬を視野に入れた新しいIT創薬プロセスを2026年度末までに構築し、広く製薬企業等に普及させることで新薬開発に必要な期間やコストを大幅に削減できる創薬DXの実現を目指していく。また富士通は、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、あらゆる人のライフエクスペリエンスを最大化する「Healthy Living」を推進しており、共同研究を通じてAIとハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を組み合わせた技術開発を進めることで社会問題の解決に貢献。クラウドサービス「Fujitsu Computing as a Service」(CaaS)の創薬分野でのユースケース創出にも取り組んでいく。

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<関連リンク>:

富士通(Digital Laboratory Platform 紹介サイト)
https://www.fujitsu.com/jp/solutions/business-technology/tc/sol/dlp/

理化学研究所(計算科学研究センター トップページ)
https://www.riken.jp/research/labs/r-ccs/

理化学研究所(計算科学研究センター HPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門のページ)
https://www.riken.jp/research/labs/r-ccs/hpc_ai_drive_drug_dev_plat/index.html


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