2022年夏CCS特集:ドットマティクス

新生グループとして再編、機械学習までもデータ自動化

 2022.06.28−研究プロセスの自動化を推進するドットマティクスは、今年4月末に大きく体制を変え、新生ドットマティクスとしての活動が本格的にスタートした。昨年4月に同社を買収した米インサイトフルサイエンスは、その後もバイオ分野などのベンダーの買収を続けてきたが、ちょうど1年後に社名を「ドットマティクス」に変更すると発表。10社ほどの企業が「ドットマティクス」の旗印のもとに結集した。

 グループ全体のポートフォリオとしては、科学的データの管理から実験装置との統合、データ処理、データ管理、人工知能(AI)/機械学習まで、モダリティに対応した創薬支援環境を包括的に提供することが可能。電子実験ノートによるインフラを含めたデータ駆動型研究基盤として、化学・材料分野にも適用が可能で、実際にその方面からの引き合いも増えている。昨年も国内でのビジネスは大幅に拡大したが、抗体やタンパク質、核酸、RNAなど生物関係のデータ登録が可能な「Bioregister」が好調だったという。システムの開発スピードや機能更新の速さ、バイオロジー関係での新機能やグループ製品との統合による魅力などがユーザーから評価されているようだ。

 とくに、グループ製品で力を入れたいのが「BioBright」。質量分析やハイコンテンツイメージング、プレートリーダーなどさまざまな実験装置からデータを自動的に収集するクラウドサービスで、テラバイト級のデータを暗号化して転送することができる。複数メーカーの多種類の機器に対応しており、リアルタイムにデータを吸い上げる。ドットマティクスのインフォマティクス基盤上で機械学習を行うことが可能。研究用途ではなく、プラントのセンサーデータをリアルタイムに集めてオンザフライで学習/AI予測を実施することで、プラントのバーチャルツインを構築するのに利用する顧客もいるという。未来のプロセス条件の変動を察知できるため、常に最適な運転が可能。予知保全にも利用できる。GxP対応、データインテグリティ対応も考慮されている。

 また、欧米で人気があるバイオインフォマティクス解析ソフト「Geneious」にも期待が大きい。とくに、エンタープライズ版の「Geneious Biologics」は巨大な配列データをクラウドにアップロードすることで、プリプロセッシング、アノテーション、ポストプロセッシングを効率的に行うことが可能。デスクトップツールの「Geneious Prime」は国内の大学などに多くのユーザーがいるが、Biologicsの方は抗体薬開発を進めるドットマティクスの既存ユーザーにもアピールできそうだ。これらのグループ製品は、すでに国内に販売代理店があるケースも多いため、ドットマティクス日本法人も協力しながら、日本におけるグループ全体としてのビジネス拡大を図っていく。

 なお、同社は5月にコロナ禍のCCSベンダーでは初めてリアルでのユーザー会を開催した。久しぶりに対面で交流ができたと、ユーザーからは好評だった。秋には化学・材料系でもユーザーイベントを開く計画を進めている。


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