2022年夏CCS特集:ウェイブファンクション

高速・多機能性で高評価、ワークショップの活動を強化

 2022.06.28−ウェイブファンクションは、分子軌道計算を主体にした分子モデリングソフト「Spartan '20」を開発、販売している。今年は、コロナ禍でできなくなっていたワークショップ開催や、学会などでの展示・実演など積極的なプロモーション活動を再開させる予定。国内でも長年の歴史があるソフトだが、古いバージョンのまま使っていたユーザーが、最新版の使いやすさや機能の豊富さを再評価する傾向が出てきているという。

 同社の日本支店では、Spartanを使用しながら計算化学の基礎や応用を解説するワークショップを定期的に開催していた。ここ数年はコロナ禍で中断しているが、昨年にはワークショップの内容を項目ごとにまとめた動画を作成し、ホームページ上で公開。実際にソフトが動くところをみることができるため、研究室に入った新しい学生の研修用に、またソフト購入を検討しているユーザーからも好評を得ている。新規の問い合わせも増えているということだ。

 現在の最新版はSpartan '20で、マルチコア対応で16スレッドまでの並列動作が可能なパラレルスイート版と、17スレッド以上の並列処理に対応できるパラレルスイートGt16版の2種類のパッケージが用意されている。とくに、前バージョンのSpartan '18から搭載された「DFT(密度汎関数法)を利用した化学シフト計算」は、弘前大学の橋本勝教授らとの共同研究に基づいて計算レシピとして組み込まれたもので、天然物など柔軟なコンホメーションを持つ分子に対応している。一般の化学者が適切な手法を組み合わせて正確な計算ができるよう、一連の手順がレシピ化されており、それ以前のバージョンのユーザーにとっては目新しい機能となっている。最新版でさらに機能強化されているほか、計算化学ソフトとして利用できる汎関数も大きく増えており、処理速度の速さや機能の豊富さであらためて本格的な活用を図りたいとする声も出てきている。

 同社としては、この機にプロモーションを強化し、ユーザー数の増加を図る考え。学会関連展示会がリアル開催される機会をとらえるほか、出張してのオンサイトワークショップの要求にも積極的に応えていく。すでに地方の大学などからオンサイトの依頼がいくつか来ているということだ。


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