CCS特集2022年冬:ブルカー

日本重視のサービス展開、NMRなど機器連携で強み

 2022.12.01−ブルカーは、クラウド型研究情報管理ソフトウエア「Arxspan」を提供中。今年8月、米国と欧州に続く第3のデータセンターを日本に開設した。海外製のソフトだが、画面もすべて日本語化されており、日本市場を重視した姿勢でサービスを展開している。

 Arxspanは、電子実験ノート、化合物・生物情報管理、アッセイデータ管理、生物・化学・サンプル管理、データ解析などの機能を統合したクラウドアプリケーションで、製薬、バイオ、化学、材料科学などでの利用を想定し、それぞれの研究ワークフローのニーズを満たすように構築されている。API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を利用してオンプレミスのユーザーアプリケーションと連携できることも強みで、蓄積したデータを取り込んで機械学習に利用するなど、人工知能(AI)の応用でも注目されている。

 とくに、データセンターを国内に設けたことでシステムのパフォーマンスが大きく改善し、ユーザーからも満足の声があがっているという。最近はとくに材料系での問い合わせが増えており、中小・中堅から大企業まで幅広く関心が寄せられている。今後は国内センターを好む政府系研究機関や大学などへのアプローチも強化していく方針。グローバルにも人員増を図っており、24時間/365日のサポート体制を拡充している。レスポンスタイムには自信があり、99%以上の問い合わせに2時間以内で回答することができているということだ。

 システム面の特徴はテンプレートの柔軟さで、ユーザーが自由に定義し、入力された項目を定型的なデータとして管理することができる。とりわけ、材料系の実験は多様なスタイルのテンプレートが必要であり、従来の電子ノートではカスタム対応が難しい局面もあったという。現在、同社ではこうしたテンプレート機能をベースにシステム全体を共通化・プラットフォーム化する開発を進めている。ユーザーから直接みえない部分ではあるが、内部の改良を図り、より堅牢で使いやすいシステムになっていくと期待されよう。

 また、同社が49%出資しているスペインのメストレラボとの統合によるソリューションも評価が高い。「Mdrive/Mgear」と連携して、分析を依頼してから測定データを回収し、データ処理・解析して、最終的に電子ノートに登録するまでのプロセスを自動化できる。ブルカー製の核磁気共鳴装置(NMR)をはじめとして、さまざまなメーカーの各種機器に対応することが可能。国内販売パートナーの富士通が提供しているデータ解析ツール「Spotfire」と組み合わせれば、強力な次世代ラボ環境を構築することができるという。


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