CCS特集2023年夏:アフィニティサイエンス

低価格でSBDDを実行、仮想現実に対応し分子を操作

 2023.06.28−アフィニティサイエンスは、創薬研究や材料開発に役立つ研究支援ソフトウエアの輸入販売に加え、計算科学技術に基づくコンサルティングや受託研究サービスも提供。ユニークな製品を強みにしている。

 とくに今年、力を入れるのがオーストリアのヤサラバイオサイエンスが開発している分子モデリングソフト「YASARA」。ドッキングシミュレーション、高速な分子動力学(MD)計算、ホモロジーモデリングなど、構造ベース創薬(SBDD)のための豊富な機能を備えていながら非常に低価格なことが特徴。アカデミアを中心にユーザーが増えており、教育機関向け価格は1年間保守付のシングルユーザーライセンスで8万6,000円。次年度以降の保守費は3万9,000円で、ランニングコストも安い。グループリーダーライセンス(17万3,000円、次年度以降の保守費は7万8,000円)は、研究室の全員に使用権が与えられる。民間企業向けはシングルユーザー71万円で、次年度以降の保守費が32万円と、やはりリーズナブルだ。

 とくに、430を超える多彩なコマンドを持ち、マクロでの自動化によって、複雑な計算や解析などの自動実行が可能。GPU(グラフィックプロセッサー)も追加の負担なしで無制限に使用できるため、大規模な計算でもリーズナブルに実行できる。Windows、Linux、Macと利用環境も選ばない。開発の動きも活発で、今年4月にはVR(仮想現実)ヘッドセットに対応し、バーチャル空間でタンパク質や分子を操作することも可能になった。

 同社では、初めて使う人を対象にした日本語ガイドを作成中。また、7月7日には製品紹介のウェビナーを開催する。その後は、実際にソフトを操作できるハンズオン講習会も計画している。

 一方、同社の主力商品に成長した伊アルバサイエンスのシステム群は、最大5,666種の分子記述子計算とフラグメント計算を行う「alvaDesc」に加え、遺伝的アルゴリズムによって de novo 分子設計を行う「alvaBuilder」、分子構造と活性や物性との相関解析(QSAR/QSPR)を実施する「alvaModel」、構築した予測モデルを走らせる「alvaRunner」、分子データセットの可視化・分析を行う「alvaMolecule」が登場し、スイート化されたことでさらに人気が高まっている。こちらも、スイートの全体像を紹介するウェビナーを先ごろ開催しており、7月にはオンラインおよび対面でハンズオン講習会のシリーズを実施していく。

 また、オーストリアのインテ・リガンド社が開発しているファーマコフォアベースのインシリコスクリーニングソフト「Ligand Scout」も国内で実績豊富。現在、次期バージョンが開発中であり、リリースされ次第、これもウェビナーやハンズオンを行いたいという。同社としては、今年はユーザーと直接の対話の機会を増やす作戦のようだ。


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