CCSニュースファイル
   2004年10−12月

  • CCS特集2004年秋期

1部:総論業界動向

2部:主要ベンダー各社の製品戦略

アクセルリスアドバンスソフトElsevier MDLヒューリンクスインフォコム科学技術振興機構NECソフト菱化システム住商エレクトロニクスウェイブファンクション(アルファベット順)

 

  • NECがMolStudioの最新版リリース4を発売、サイトライセンス新設
     2004.10.01−NECは、分子軌道法(MO)計算専用グラフィックシステム「MolStudio」の最新版リリース4を10月15日に発売する。とくに、大規模な分子を扱うための機能強化が施されており、プロテインデータバンク(PDB)ファイルの読み込み、たん白質立体構造の高速描画など、生体高分子を快適に操作できるようになった。また、今回から新たにサイトライセンス契約を設け、研究所または大学などの教育機関での大量導入を積極的に狙っていく。
  • NECがMD計算専用サーバーの開発に着手、“MDエンジン”技術導入
     2004.10.02−NECは1日、富士ゼロックスから分子動力学法(MD)計算専用ハードウエア「MDエンジン」の技術を継承し、NECC独自の半導体・コンピューター技術を適用したMD専用サーバーの開発に着手したと発表した。創薬研究において、たん白質の構造や折り畳みなどの予測を行うことに利用する。MD特有の原子間相互作用計算を高速・高精度に実行することができ、通常のPCサーバーに比べて計算時間を100分の1以下に短縮することを目指す。2005年度に製品化する予定。
  • FSIS研究グループがたん白質全電子計算の世界記録を達成
     2004.10.07−文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウエアの開発」(FSIS)プロジェクトの次世代量子化学計算グループ(グループリーダー・佐藤文俊東京大学特任助教授)は、たん白質全体の電子構造を量子化学的に計算できる「ProteinDF」を利用して、たん白質全電子計算の世界記録を達成した。インスリン六量体を丸ごと解析したもので、もともとの開発者である九州工業大学の柏木浩名誉教授らのグループが2000年に実施したチトクロームCでの記録を塗り替えた。アミノ酸残基数で約3倍のサイズでの更新であり、12月には独特の計算手法を自動化するエディター機能を含む統合型システムのベータ版を提供開始することから、来年度に向けて産業界での普及も期待される。
  • NECソフトがプロテオミクス研究支援ソフトProteoFinderを製品化
     2004.10.13−NECソフトは12日、プロテオーム解析の研究プロセスを大幅に効率化できる「ProteoFinder」(プロテオファインダー)を製品化し、11月1日から発売すると発表した。文部科学省・知的クラスター創成事業「徳島プロテオミクスファクトリー」の研究成果をベースにしたもので、開発元は徳島大学発ベンチャーのバイオソリューション(澤島隆社長)、NECソフトが独占販売を行う。プロテオーム研究のボトルネックとなりつつあるたん白質同定作業を高度に自動化できるのが特徴で、ソフト価格は基本パッケージが200万円(アカデミック125万円)。今後3年間に2億円の販売を見込んでいる。
  • インフォコムとインテックW&Gがバイオサイエンス事業で包括提携
     2004.11.18−インフォコムは、インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス(略称・W&G)とバイオサイエンス事業で包括的な業務提携関係を結んだ。相互に製品を補完し合って、より総合的なソリューションを提供するほか、それぞれのビジネスパートナーや顧客とのコネクションを生かして営業面でも協力体制をとっていく。インフォコムでは、これを第1弾としてさらに提携を拡大させたい考えで、ソフトウエアにとどまらず、試薬や実験・計測機器のメーカーおよび販売会社などとの異業種連携にも発展させていく。
  • サイテジックのパイプラインパイロットの販売権がアクセルリスに移動
     2004.11.26−米アクセルリスによる米サイテジック買収にともない、化学・薬学分野に特化したデータ解析自動化・マイニングツール「パイプラインパイロット」(商品名)の国内での販売体制が固まった。11月15日でエルゼビアMDLによる販売・サポートが終了し、16日からは日本法人のアクセルリスに全事業が引き継がれた。アクセルリスでは、研究業務のワークフローに合わせて複数のアプリケーションを連携させるプラットホーム機能を生かし、重要な基盤製品として発展・拡大を図っていく。
  • アドバンスソフトが文科省FSISベースの商用版パッケージを正式発売
     2004.11.26−アドバンスソフト(本社・東京都新宿区、小池秀耀社長)は25日、文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウエアの開発」(FSIS)プロジェクトの成果物を正式に商用化し、販売を開始したと発表した。世界的にみても先端的な機能を持つ6種類のソフトウエアを製品化したもので、合わせて初年度に300本、次年度600本の販売を見込んでいる。FSISのサイトからフリー版もダウンロードできるが、使いやすさを重点に置いた機能強化と専門的なサービス・サポートで差別化を図っていく。
  • 菱化システムが量子化学計算専用マシンを発売、ハード・ソフト設定済み
     2004.12.02−菱化システムは、米パラレルクワンタムソリューション(PQS、本社・アーカンソー州)が開発した量子化学計算専用のPCクラスターマシン「QuantumCube」の国内販売権を取得し、このほど本格的に販売を開始した。量子化学計算を行うために必要な機能や環境が整っており、すぐに利用をはじめることができる。サードパーティー製のソフトも動作可能で、菱化システムでは計算化学のターンキーシステムとして戦略的な価格設定を行い、広く普及を図っていく。
  • 日本IBMが山之内製薬にグリッドコンピューティングシステム納入
     2004.12.08−日本IBMは、新薬開発のインシリコスクリーニングのためのグリッドコンピューティングシステムを山之内製薬に納入した。10月14日にカットオーバーしたシステムで、従来は3−4週間かかっていた処理を3−4日で完了することができるようになった。
  • インフォコムが遺伝子ネットワーク推定ソフトを製品化、海外でも販売へ
     2004.12.14−インフォコムは、新しい解析手法を組み込んだ遺伝子ネットワーク推定ソフト「Auto Net Finder」(オートネットファインダー)を製品化し、来年1月から米国を含めた世界市場での販売活動を開始する。同社が東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの堀本勝久特任教授らの研究グループと共同で開発した「ASIAN」をベースに機能強化を施したもので、統合的なパスウェイ解析ソリューションとして利用できる。国内・海外を合わせて初年度に200ライセンスの販売を見込んでいる。
  • 富士通が「バイオサーバー」の製品化にめど、来年2月に先行出荷機
     2004.12.15−富士通は、新薬の研究開発を支援するための各種高速計算を効率良く実行するための「BioServer」(バイオサーバー)の製品化にめどを付けた。まずは先行出荷機を来年2月から特定顧客向けに提供開始し、実際の研究現場での評価を得たあと、来年後半から本格的な商用機を出荷する計画。ターゲットたん白質に対する薬物候補分子の結合の強さをシミュレーションしたり、ドッキングスタディをハイスループットで実行したりすることが可能で、新薬候補物質の探索研究を大幅に時間短縮することが可能である。当初は3種類のアプリケーションをセットにして提供するが、将来的にはサードパーティーの移植なども働きかけていく。
  • サイバネットシステムが米オープンアイの創薬支援システム群を発売
     2004.12.21−サイバネットシステムは、米オープンアイ・サイエンティフィックソフトウエア(本社・ニューメキシコ州、アンソニー・ニコルス社長)が開発した創薬支援システム製品群の国内における販売権を取得した。リード化合物探索を高い精度で行うために三次元での類似度の評価やたん白質との相関を検証できることが特徴。単体で利用できるアプリケーションと、ユーザーが自分でプログラムに組み込むことができるツールキットの両方が用意されており、価格はサイトライセンスで122万円から。初年度に30本の販売を見込んでいる。
  • 三井情報開発がプロテオーム解析向け統合プラットホーム製品を開発
     2004.12.22−三井情報開発(MKI)は、エーザイと共同でプロテオーム解析を行うための統合プラットホーム「Xome」(ゾーム)を開発、製品化した。質量分析装置(MS)から得られた大量のスペクトルデータを解析し、たん白質の同定および定量、アノテーション付加などを全自動で行うことができる。国産ソフトである強みを生かし、導入や使用に際してユーザーのニーズに合わせた技術サポートを提供していく。
  • ノーザンサイエンスコンサルティングが英国受託試験機関の窓口業務
     2004.12.22−ノーザンサイエンスコンサルティング(本社・北海道千歳市、村上剛社長)は、英国の受託試験機関2社の国内における窓口業務を開始した。医薬品開発におけるADME(吸収・分布・代謝・排出)/毒性解析の支援技術・サービスを拡充する一環として取り組みをはじめたもので、インビトロ(試験管内)試験を行うエピステム社、インビボ(生体内)試験に強いノースウィックパークインスティチュート・フォア・メディカルリサーチ(NPIMR)のサービスを仲介する。
  • 米アクセルリス:マーケティング担当副社長ビル・テイラー氏インタビュー
     2004.12.23−米アクセルリスは、今年の4月に創薬ベンチャーのファーマコピアと分離し、ソフト専業として独立して以来、内部の体制固めを推進。その一環として、新しいマーケティング担当副社長に、9月1日からウィリアム(ビル)・テイラー氏が就任した。テイラー副社長は、IBMのソフトウエア事業部で開発ツールを手がけているラショナルソフトウエア部門においてビジネス戦略のプランニングなどを担当してきた人物。新鮮な視点から今後のアクセルリスの製品戦略がどのように展開されるのかが注目される。テイラー副社長は、顧客の視点から製品ポートフォリオを見直すことと、9月末に買収したサイテジック社のプラットホーム技術の意味合いを強調する。
  • インフォコムが仏アウレウスの化合物・生物情報DBの独占販売権
     2004.12.27−インフォコムは、仏アウレウスファルマ(アンドレ・ミシェルCEO)との間で、化合物や生物実験情報の知識データベース(DB)「AurSCOPE」をはじめとする製品群の国内独占販売契約を締結し、その販売活動を開始した。インフォコムがかねてから提供している米シュレーディンガー社などの分子設計支援システムを補完するかたちでの活用を推進し、“創薬の知識化”を実現する統合ソリューションとして提案していく考え。
  • ノーザンサイエンスがハンガリー・コムジェネックスの反応情報DBを販売
     2004.12.27−ノーザンサイエンスコンサルティング(本社・北海道千歳市、村上剛社長)は、このほどハンガリーのコムジェネックス社(フェレンク・ダーバス社長)が開発した合成反応データベース(DB)「ComGenexリアクションデータベース」の国内販売権を取得した。インターネットベースのオンラインサービスとして検索できるDBで、100万件以上の反応情報を収録。年間使用料は400万円だが、来年3月までの契約分はキャンペーンとして365万円で提供する。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 米アスペンテクノロジーが次世代ソリューションaspenONEを発表
     2004.10.20−米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、生産現場と基幹システムをつないでプロセス産業における全体最適化のデシジョンメイキングを可能にする“EOM”(エンタープライズオペレーションズマネジメント)構想を具体化し、次世代ソリューション製品として「aspenONE」を開発した。オイル&ガス、石油、化学、ファインケミカル、医薬、消費財−の6つの産業向けにソリューションマップを整備し、同社の全製品を統合化したかたちで提供していく。業界標準に基づいて他社の製品や技術を組み込めるように設計されており、あらためてマイクロソフトやシェルグローバルソリューションズなどと戦略提携を結んだ。今後、日本を含めた全世界で提案活動を強力に推進していく。
  • ターボリナックスが初心者用家庭向けLinuxを製品化
     2004.10.23−ターボリナックスは、パソコン初心者を対象にした初の本格的な家庭向けLinuxディストリビューション「ターボリナックスホーム」(商品名)を開発、11月12日から販売を開始する。大きなアイコンを使った専用のデスクトップ画面を備えており、インターネット、メール、デジカメ写真編集、はがき作成というホームユーザーの主な用途すべてをカバーできるアプリケーションをバンドル。パソコンに不慣れな初心者がそのまま簡単に使えるように工夫した。価格は1万6,590円で、年間3万本の販売を見込んでいる。
  • マイクロソフトが独自開発の次世代検索エンジンを公開、日本語試作版も
     2004.10.30−マイクロソフトは28日、MSN事業に関するプレス向け説明会を開催、その業績や今後のサービス開発計画などについて明らかにした。とくに、独自で開発中の新型検索エンジンの狙いについても紹介されたが、すでに10月13日から試作版が公開されており、“Google”を超える検索速度や検索精度を体感できるという。今年度中(2005年6月まで)にMSNの検索機能に正式に組み込まれる予定。
  • 米アスペンテック:ゲインズ副社長インタビュー、SCM戦略新局面へ
     2004.12.02−プロセス産業専門のITベンダー最大手である米アスペンテクノロジー(アスペンテック)のサプライチェーンマネジメント(SCM)戦略が新しい局面を迎えている。同社は、20社あまりのベンダーを吸収合併してできた膨大な製品群を統合する新ソリューション体系“aspenONE”を発表しているが、その中でもSCM関連は基幹製品の位置を占める。同事業のトップを務めるスティーブン・K・ゲインズ副社長に新体系における事業戦略を聞いた。

 

 


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