CCSニュースファイル
   2005年7−9月

  • NECとNECソフトがJBIRCにバイオ用グリッドシステムを導入
     2005.07.01−NECとNECソフトは、生物情報解析研究センター(JBIRC)に対して遺伝子解析のためのグリッドコンピューティングシステムを納入した。全体で64プロセッサーから構成されており、2つのPCクラスターを接続したもの。NEDO技術開発機構から委託された「遺伝子多様性モデル解析事業」の成果の一部として構築された。実際に開発を担当したNECソフトでは、バイオ向けグリッドアプリケーション「BioCollabo」(バイオコラボ)を製品化しており、今回の実績を機にこの分野におけるグリッド導入に力を注ぐ。
  • CTCLSが米スターリムスのLIMSを発売、短納期・低コスト実現
     2005.07.06−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は4日、伊藤忠商事とともに米スターリムス社(本社・フロリダ州、アイザック・フリードマン社長)と販売代理店契約を締結し、医薬・食品・化学分野向けのLIMS(研究情報統合管理システム)である「STARLIMS」を販売開始したと発表した。豊富な業務・業種テンプレートがそろっており、一般的なLIMSに比べて導入期間を3分の1に短縮することができる。初年度に3件の受注、3年後に8億円の売り上げを見込んでいる。
  • 日立ソフトがマイクロウェルアレイチップ用細胞解析スキャナーを製品化
     2005.07.06−日立ソフトは4日、抗体医薬の開発に役立つマイクロウェルアレイチップ専用細胞解析スキャナーを製品化したと発表した。文部科学省知的クラスター創成事業「とやま医薬バイオクラスター」の産学官共同研究プロジェクトの成果の一部として開発したもので、将来的には総合的なシステムへと発展させていく。その第一弾である細胞解析スキャナーの価格は1,500万円。関連事業全体で年間10億円以上の売り上げを見込んでいる。
  • 米アクセルリス:マーク・エムケアCEOインタビュー、再び成長路線へ
     2005.07.09−コンピューターケミストリーシステム(CCS)の最大手ベンダーであるアクセルリスが、今後の成長へ向けて新しい段階に進みつつある。昨年4月に創薬事業主体のファーマコピアから分離・独立し、CCS専業ベンダーとして再出発して1年が経過した。マーク・エムケア社長兼CEOは、「基本に戻って、しっかりとした開発の体制を再構築してきた。今後は顧客第一主義を徹底し、先進的な科学的理論に基づくソフト開発でリードするとともに、顧客の抱える問題を具体的に解決できるアプリケーションやサービス、コンサルティングの提供に力を入れる。これからのアクセルリスに期待してほしい」と述べる。
  • 富士通が「バイオサーバー」実機を一般公開、今日からフォーラムで
     2005.07.14−富士通は、きょう14日から明日15日まで東京・有楽町で開催中の「富士通フォーラム2005」において、開発中の「バイオサーバー」の実機を初めて一般公開する。今回のマシンは特定のベータユーザー向けに提供されている先行出荷機で、ほぼ製品レベルの仕上がりとなっている。以下、写真にて紹介していく。
  • CTCLSが電子実験ノート市場に進出、シミックスインテリケム製品発売
     2005.07.26−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は25日、製薬業向け電子実験ノートブックシステム市場に進出し、米シミックスインテリケム社が開発した「IntelliChem iELN」を販売開始したと発表した。研究所の業務フローに組み込まれるエンタープライズレベルの製品で、電子記録のための法規制にも完全準拠している。医薬研究開発の主要な業務領域に特化した5つのコンポーネントで構成されており、業務対象の広さやカスタマイズの柔軟性、システム構築期間の短さなどが特徴となる。ソフト価格は100ユーザーライセンスで約5,000万円。2006年度に関連サービス込みで3億円の売り上げを見込んでいる。
  • FQSが薬物動態DBをASPサービスで提供、世界最大級のP450情報
     2005.08.01−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、医薬品研究開発に役立つ薬物動態データベース(DB)のASP(アプリケーションサービスプロバイダー)サービスを、きょう1日から提供開始する。薬物代謝酵素として代表的なチトクロームP450の代謝情報やキネティックパラメーター情報、トランスポーターの基質・阻害情報などをインターネット経由で検索できる。網羅的に情報が収集されていることが特徴で、目的の医薬品の薬物動態関連情報を広範かつ詳細に調べることが可能。年間使用料金は、10ユーザーで150万円から。
  • ノーザンサイエンスが米TSRLのADME受託試験サービスの窓口業務
     2005.08.10−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC、本社・北海道千歳市、村上剛社長)は、米TSRL社が提供しているADME(吸収・分布・代謝・排出)受託試験の国内における窓口業務を開始した。生物薬剤学的評価と薬物動態解析の大きく2つのメニューがあり、経験豊富なスタッフによる信頼性の高い試験データが得られることが特徴。
  • 菱化システムが米パーテックのデータマイニングソリューション
     2005.08.12−菱化システムは、米パーテック(本社・ミズーリ州、トム・ダウニー社長)からデータマイニングソフトウエアの国内独占販売権を取得、8月から本格的に事業を開始した。医薬品開発を行う実験科学者のパーソナルなデータ解析ツールとして売り込んでいく。用途別に「ゲノミクスソリューション」、「QSARソリューション」、「スクリーナーズソリューション」が用意されており、業務に合わせて導入することができる。ソフト価格は、年間ライセンスで企業ユーザー向けが78万7,500円から、大学向けは15万7,500円から。
  • ノーザンサイエンスがセージ社の創薬化学研究向けパーソナルツール
     2005.08.19−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC、本社・北海道千歳市、村上剛社長)は、米セージインフォマティクス(本社・ニューメキシコ州、デヴィッド・ミラー代表)と代理店契約を締結し、創薬化学研究者向けソフトウエア「ChemTK」の販売を開始した。実験をしながら、化合物ライブラリーのデータを処理したり、構造活性相関(QSAR)などの統計解析を行ったりすることができるパーソナルなツールで、価格は1本6万2,000円(アカデミック版2万8,000円)。
  • 菱化システムが最新版MOE2005.06を発売、インシリコ創薬支援機能強化
     2005.08.23−菱化システムは、加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)が開発した統合コンピューターケミストリーシステム(CCS)製品である「MOE」の最新バージョンを発売した。たん白質構造解析、化合物ライブラリー設計、ドッキングシミュレーションなど、創薬に必要とされるアプリケーションを統合したもの。今回の最新版では、インシリコスクリーニング機能の強化が図られたほか、計算化学・シミュレーション機能の拡充、分子構築ツールの改良による操作性向上など、多数の機能追加や改良が行われている。
  • FQSが液晶化合物DBシステム最新版LiqCryst4.6を発売
     2005.09.03−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、独ハンブルグ大学のフォルクマル・フィル教授が開発した液晶化合物データベース(DB)システムの最新版「LiqCryst 4.6」を発売した。1995年からアップデートが続けられてきており、9万2,600個の液晶化合物情報を収録している。今回の最新版は、ユーザーが独自にデータを追加登録することが可能で、研究内容に合わせたDBの構築が実現できる。Windowsで動作し、価格は一般向けが155万円、教育機関向け90万円。年間100本の販売を見込んでいる。
  • CTCLSが創薬研究向け電子実験ノートブック、最適な合成経路探索
     2005.09.15−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、製薬業向けの新しい電子実験ノートブックソリューション「Arthurスイート」(オーサースイート)を発売した。米シミックステクノロジーズが今年3月に米シンセマティクスを買収して得た製品で、過去のノウハウを一元化・共有して創薬研究者が合成実験を行う際に最適な合成経路を検討したり、開発現場との間のデータ連携を円滑にしたりすることに役立つ。ライセンス価格は1ユーザー60万円で、2006年度に1億5,000万円の売り上げを見込んでいる。
  • ElsevierMDLのIsentrisアライアンス戦略が加速、国内でも独自の展開
     2005.09.21−ElsevierMDL(エルゼビアMDL)のアライアンス戦略が加速しはじめた。統合化学情報管理プラットホームの次世代製品「Isentris」(アイセントリス)を中心に据えた“Isentrisアライアンス”戦略が進展、業界で大きな勢力を形成しつつある。このアライアンスには、ストラテジック、プリファード、ベーシックの3つのレベルがあり、年内にストラテジックパートナーで5−10社、プリファードパートナーで10社程度との契約を目指す。9月7日から9日にかけて宮崎・フェニックスシーガイアリゾート国際会議場で「日本ユーザー会」が開催されたが、それに合わせて来日したIsentris担当ディレクターのトーマス・ブラッカダー氏および日本法人代表取締役のビル・ボーク氏に日本市場を含めたアライアンス戦略について聞いた。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • セールスフォース・ドットコムがオンデマンド型CRMサービスを機能強化
     2005.07.12−セールスフォース・ドットコムは、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)型のオンデマンドCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ソリューションをバージョンアップし、100以上の機能強化を実施した「Salesforce.com Summer '05」(セールスフォース・ドットコム・サマー05)を提供開始した。豊富なウェブサービスを統合して自由にアプリケーションを組み立てることができ、ユーザー自身が簡単にカスタマイズすることも可能。利用料金は、プロフェッショナル版が月額1ユーザー7,875円、エンタープライズ版が同1万5,750円、チーム版が年額5ユーザー10万800円。
  • SAPの化学業界戦略:SAPアジア化学担当ヒィーセン氏インタビュー
     2005.07.22−SAPは、化学業界向けのエンタープライズアプリケーションで世界トップの実績を誇る。ドイツに本拠を置くソフトベンダーとして、30年以上にわたって欧米の大手化学会社の成長をサポートしてきた。同社は、世界的な化学大手11社のCIO(情報担当役員)を集めたアドバイザリーカウンシルを組織しており、化学業界の情報化ニーズを把握し、戦略的なソリューション開発を推進している。先ごろ来日したSAPアジアの化学およびオイル&ガス担当インダストリービジネスユニットのディレクターであるハートムット・ヒィーセン氏に、今後の中長期的な化学業界のIT(情報技術)動向と、新しいSAPのソリューション戦略“アダプティブビジネスネットワークス”(ABN)について聞いた。
  • マイクロソフト日本法人のヒューストン新社長が会見、PLAN-Jスタート
     2005.07.28−マイクロソフト日本法人のダレン・ヒューストン社長が27日、7月1日就任後初の記者会見を都内のホテルで行い、日本市場における3ヵ年計画「PLAN-J」を策定したことを明らかにした。日本における投資の拡大、企業および消費者向けの技術革新の促進、産学官のパートナーシップの拡大−が3本柱になっており、「3年後には日本にしっかり根付いた第一級の企業になれるようにする」という。
  • マイクロソフトTech・Ed 2005 横浜:S・ソマセガー氏基調講演
     2005.08.08−マイクロソフトは、2日から5日までの4日間、今年で11回目を迎えるデベロッパーズコンファレンス「Tech・Ed 2005」をパシフィコ横浜で開催した。3日には、「Get Ready for 2005!−マイクロソフトの次世代アプリケーションプラットホーム戦略」と題して基調講演が行われ、米マイクロソフトのデベロッパー部門コーポレートバイオスプレジデントであるS・ソマセガー氏が11月17日に発表を予定している新製品「SQLサーバー2005」および「ビジュアルスタジオ2005」などの新機能を紹介した。ソマセガー氏の話しは、“接続性”をキーワードにしたもので、ドットネット環境がすでに大きな成功を収めていることを強調しながら、競合製品に対する優位性を訴えた。
  • NTTソフトがコンテンツを三次元空間に配置できる次世代ブラウザー開発
     2005.08.16−NTTソフトウェアは、大量のビジュアル化された情報を三次元空間上に配置し、切り口や視点を変えて情報の理解を助けることができるようにする次世代ブラウザー技術「SpaceBrowser」(スペースブラウザー)を開発した。データマイニングのためのビジュアル化技術をインターネットに応用したイメージで、ウェブページのサムネール画像を三次元オブジェクトとして扱い、利用者が各種属性に基づいてダイナミックにそれらを再配置することが可能。同社では、用途を絞った専用システム向けにパッケージ化して販売する計画で、ホテルや博物館などに設置する情報キオスク向けや、使いやすさとユニークさで顧客にアピールしたいコマースサイト向け、さらには業務アプリケーションなどとの統合を実現できる企業向け複合ソリューション−といった用途での展開を図る。
  • 日立製作所がシリコンで量子ビット開発、量子コンピューター実現に道
     2005.08.20−日立製作所は19日、日立ヨーロッパの日立ケンブリッジ研究所が英ケンブリッジ大学と共同で、量子コンピューター実現へ向けての重要なブレークスルーを達成したと発表した。計算素子となる量子ビット(二重量子ドット)を、シリコン技術を利用して開発することに世界で初めて成功したことに加え、ガリウムヒ素などの他の半導体材料で報告されているよりも2ケタ大きな約200ナノ秒というコヒーレンス時間を実現できた。研究グループは今後、複数の量子ビットの制御やアルゴリズム演算の実行などへと研究を進めていくが、シリコンという標準的な半導体プロセスを利用することができるため、実用化へ向けて最も有利なポジションにつけたとしている。
  • 英PSEが日本支社を設立、技術コンサルティング重視の事業展開へ
     2005.08.23−プロセスシミュレーションベンダーの英プロセスシステムズエンタープライズ(PSE、コスタス・パンテリーデス代表取締役)が、横浜ビジネスパーク内に日本支社「ピーエスイー・ジャパン」を設立した。同社は、2000年から代理店を通して主力のプロセスシミュレーター「gPROMS」を販売し、10件ほどの導入実績をあげているが、今後は日本支社を中心とした直販体制に移行し、技術コンサルティングを重視した事業展開を進める。
  • プロセスエンジニアリングの新ベンダー「preFEED」が旗揚げ
     2005.09.02−ファインやスペシャリティを含めた化学工学の複雑な問題を特異なノウハウで解決する新ベンダー、preFEED(プレフィード、本社・横浜市港南区)が旗揚げした。とくに、研究室における実験と工業化のための初期設計の間のギャップに注目し、化学会社が独自の新商品をスムーズかつ短期間に市場に送り出すことができるように総合的な支援を行う。住友化学のプロセスエンジニア出身で、欧米のプロセスシミュレーションベンダーの日本法人の代表を歴任した経歴を持つ熊谷善夫社長は、「プロセス設計のための使いやすいソフトは普及したが、今後実際的な難しいプロセスを工業化していくに当たっては、単なるソフトの使い方ではなく、シミュレーションの本質的なところでの理解が重要になると思う。当面はコンサルティングを中心に事業展開し、中期的にはソフトウエア開発にも乗り出していきたい」とする。
  • ターボリナックスがLinux上でWindowsアプリケーションの実行を可能に
     2005.09.23−ターボリナックスは21日、次期デスクトップOS(基本ソフト)である「FUJI」(開発コード名)の報道関係者向け披露会を開催した。正式発表日は10月20日、製品リリースは11月中旬の予定で、現時点ではベータ版の段階であるため製品仕様は完全に固まっていないが、Linux上でWindowsアプリケーションが動作することを可能にする世界初の新機能「David」の搭載が注目される。

 


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