CCSニュースファイル
   2005年10−12月

  • CCS特集2005年秋期

1部:総論業界動向

2部:主要ベンダー各社の製品戦略

アクセルリスアドバンスソフトCTCラボラトリーシステムズElsevier MDLヒューリンクスインフォコム日本総合研究所、菱化システム住商情報システムサイエンス・テクノロジー・システムズトムソンサイエンティフィックウェイブファンクション(アルファベット順)

 

  • CTCLSが新薬探索支援のためのDB製品、7万種のたん白質立体構造
     2005.10.05−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は4日、米アイドジェン・サータンティ(本社・カリフォルニア州、スティーブン・ムスカル社長)が開発した新薬探索支援のためのデータベース(DB)製品を販売開始すると発表した。新薬のターゲットとなるたん白質の立体構造を収めた「TIP」と、キナーゼに活性のある化合物のデータを総合的に集めた「ARK」の2製品があり、ともにASP(アプリケーションサービスプロバイダー)形式でサービスを提供する。年間利用料金は、前者が700万円から、後者は460万円から。2006年度に周辺製品や関連サービスを含めて1億5,000万円の販売を見込んでいる。
  • 島津製作所とNECがプロテオミクス研究支援ソフトを共同開発
     2005.10.19−島津製作所とNECは17日、プロテオミクス研究のための情報を一元管理するソフトウエアを開発し、18日から「SOLPHI」(ソルフィ)の商品名で販売すると発表した。二次元電気泳動装置によるゲル画像の取得・管理から質量分析装置を使ったスペクトル分析まで、組織サンプルからたん白質を同定するまでの一連の研究プロセスにおけるIT(情報技術)プラットホームとしての機能を果たす。NECがOEM供給し、島津製作所ブランドで販売される。ソフト価格は10ユーザーまで300万円。年間20本の販売を見込んでいる。
  • サイバネットシステムがPDF用プラグイン発売、化合物名から構造式描画
     2005.10.20−サイバネットシステムは、米オープンアイ・サイエンティフィックソフトウエア(本社・ニューメキシコ州、アンソニー・ニコルス社長)が開発した「Lexichemプラグイン」の販売を開始した。PDF形式の学術論文の中に含まれている化学物質名を自動的に認識し、その分子構造式を表示する機能がある。文献調査の理解を深めるのに役立つ。ソフト価格はサイトライセンス(最大百ユーザー)で183万円から。初年度5,000万円の販売を見込んでいる。
  • 米ElsevierMDL:ラース・バーフォドCEOインタビュー、創薬ワークフロー支援
     2005.10.21−コンピューターケミストリーの最大手ベンダーである米ElsevierMDL(エルゼビアMDL)は、テクノロジーベンダーからソリューションプロバイダーへの転身の真っ只中にある。次世代製品であるIsentris(アイセントリス)をオープンプラットホームとして幅広いパートナーを組織化し、新薬の研究開発プロセス全体を支援できる豊富なソリューションの提供を目指す。同社のラース・バーフォド社長兼CEOにアライアンス戦略の狙いや最近の業績について聞いた。
  • 分子機能研究所がHyperChemベースの創薬支援ソフトを独自開発
     2005.10.27−分子機能研究所(埼玉県三郷市、辻一徳代表)は、加ハイパーキューブ社の汎用分子モデリングシステム「HyperChem」にたん白質解析機能などを追加し、創薬研究に役立つようにする拡張ソフトウエアを独自で開発、「ホモロジーモデリング・フォア・HyperChem」の名称で製品化した。10月には、ハイパーキューブの販売子会社であるサイバーケム社と提携して海外での販売もスタート。研究者の立場に立った使いやすさと低価格を武器に広範な普及を目指す。
  • 中部電力がグリッド環境でたん白質複合体構造解析を実施
     2005.11.02−中部電力は10月31日、情報技術(IT)子会社の中電シーティーアイ(中電CTI、八木達雄社長)および日本IBMと共同で、パソコンの余剰能力を活用するグリッドコンピューティングシステムを構築したと発表した。技術開発本部の200台のパソコンをネットワークに参加させ、1台のパソコンで47日間かかっていたたん白質構造解析のシミュレーションを10時間に短縮することに成功した。さらに実証実験を進め、最終的にはグリッドを応用した新しいビジネスモデルの創造を目指していく。
  • FQSと丸和栄養食品がたん白質結晶化条件DBをASPサービスで提供
     2005.11.09−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は7日、丸和栄養食品(本社・奈良県大和郡山市、和田吉雄社長)と共同開発した、たん白質結晶化条件データベース(DB)「Crystal T.B.」をインターネット経由で検索利用できるASP(アプリケーションサービスプロバイダー)形式のサービスとして14日から提供開始すると発表した。たん白質の立体構造を知り、医薬品や機能性たん白質を開発するための研究を効率化できる。年間利用料金は、教育機関向け95万円、官公庁・一般企業向けで250万円。3年間で10億円の売り上げを見込む。
  • 千葉工大・田辺和俊教授らが発がん性などの化学物質安全性DBを開発
     2005.11.11−千葉工業大学社会システム科学部の田辺和俊教授らのグループは、信頼性の高い化学物質安全性データベース(DB)システムを開発した。まずは発がん性に関するDBを完成させており、順次その他の毒性情報も追加しながら来年初めにはインターネットで公開する予定。身の回りの数多くの化学物質は、毒性が不明なまま存在しているものも少なくないため、今回のDBは広く注目を集めそう。開発成果は13日から米国メリーランド州ボルティモアで開かれる環境毒性化学会北米年次大会で発表される。
  • コンフレックスが配座探索ソフトの最新版CONFLEX5.2を発売
     2005.11.16−コンフレックス(本社・東京都新宿区、森下栄一社長)は、配座探索ソフトウエア「CONFLEX」の最新バージョン5.2を発売した。新薬開発の支援にターゲットを置いており、将来に導入予定のドッキングシミュレーションに向けての機能強化がいくつか図られている。
  • 日本総合研究所がJ-OCTAの最新バージョン1.1をリリース
     2005.11.18−日本総合研究所は、高分子材料設計のための統合システム「J-OCTA」を機能強化し、最新バージョン1.1を10月末から出荷開始する。経済産業省大学連携型プロジェクトとして実施された「高機能材料設計プラットホームの開発」(通称・土井プロジェクト)で開発された革新的な計算エンジン群を駆使するためのモデラーが完全に出そろった。同社では、28日にリリース報告会を開催するのを皮切りに、本格的な販売活動に入っていく。
  • アドバンスソフトが地球シミュレータを利用した受託計算サービス
     2005.11.24−アドバンスソフトは、コンピューターケミストリーシステム(CCS)などの分野で、海洋研究開発機構に設置されている「地球シミュレータ」を利用した受託解析サービスを開始した。同社は昨年度まで実施された文部科学省プロジェクト「戦略的基盤ソフトウエアの開発」(FSIS)で作成されたプログラムの商用版を開発・販売しているが、そのあとを受けた「戦略的革新シミュレーションソフトウエア」(RSS)プロジェクトとの連携で各プログラムの地球シミュレータへの移植と最適化を実施。その成果を新サービスとして提供することにした。費用はコンサルティング込みで個別見積もりとなるが、典型的なケースで約300万円という。
  • NECがMD計算専用サーバーを製品化、PCクラスター340台相当の性能
     2005.11.30−NECは29日、新薬の研究開発を支援する分子動力学法(MD)計算専用サーバーを製品化し、「Express5800/MDサーバー」の名称できょう30日から出荷を開始すると発表した。新開発のMD専用アクセラレーターボードを搭載しており、通常のPCクラスター340台分の性能を発揮できる。これまでは1ヵ月単位の時間がかかっていた計算を1日で終わらせられるようになるため、仮説検証などの研究のサイクルの点でMD計算が実用域に達したとしている。システム価格は340万円からで、今後3年間に国内で1,000台、海外500台の販売を見込んでいる。
  • 菱化システムが半経験的分子軌道法ソフトAMPACを発売
     2005.12.02−菱化システムは、米セミケム(本社・ミズーリ州、アンドリュー・ホルダー社長)が開発した半経験的分子軌道法ソフトウエア「AMPAC8」を国内で販売開始した。計算が速く、収束しないことも少ないので気軽に扱うことができ、遷移状態の探索なども行いやすい。Gaussianと連携できることも特徴。年間ライセンス価格は来年3月末までのキャンペーンで、企業向け31万5,000円から。教育機関向けは9万9,750円。
  • 富士通が材料設計支援システムMaterials Explorerの最新版4.0を発売
     2005.12.09−富士通は、分子動力学法(MD)をベースにした材料設計支援システム「Materials Explorer」(マテリアルズエクスプローラー)を強化し、最新バージョン4.0としてきょう9日から販売開始した。とくに、燃料電池などのポリマーを対象とした機能を追加するなど、ナノテクノロジー関連の適用領域を拡大。材料分野の実験結果を原子レベルでモデル検証・説明できるシステムへの発展を目指している。Windowsで動作し、ソフト価格はウルトラ版が300万円、プロフェッショナル版が100万円。出荷開始は来年1月下旬で、2年間に4億円の売り上げを見込んでいる。
  • 国立情報学研究所の佐藤助教授らが化学用グラフィックライブラリー
     2005.12.14−国立情報学研究所の佐藤寛子助教授らの研究グループは13日、コンピューターケミストリーシステム(CCS)向けの化学グラフィックライブラリー「ケモじゅん」を開発、オープンソースソフトウエア(OSS)として26日から無償公開すると発表した。分子グラフィックを表示させるための共有基盤となる技術で、大学や企業の研究者などがソフト開発を行う際に部品として使用できる。継続的に機能強化を図り、商用ソフトの開発者にも採用されるレベルへと育成していく。国産CCS開発を促進する意味からも今後の発展が期待される。
  • CTCLSが米ジーンロジックの新薬候補化合物毒性予測サービスを提供
     2005.12.15−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は14日、米国のトキシコゲノミクス専門企業であるジーンロジック社(本社・メリーランド州、マーク・D・ゲスラー社長)と提携して、新薬候補化合物の毒性予測・解析サービス「ToxScreenレポート」(TSR)を15日から提供開始すると発表した。ヒトの心臓および肝臓、肝細胞に対する毒性を予測することができ、新薬を市場に出すまでの開発期間を大幅に短縮することが可能。費用は1件当たり400万円からで、2006年度までに5億円の売り上げを見込んでいる。
  • アクセルリスがナノバイオ分野の新コンソーシアムをスタートへ
     2005.12.20−アクセルリスは、ナノバイオ領域を対象にしたコンピューターケミストリーシステム(CCS)開発を推進するため、「ナノバイオロジーイニシアチブ」をスタートさせた。ナノバイオチップや生体認識のための分子センサー、ドラッグデリバリーシステム(DDS)などの設計・開発に役立つ包括的なソフトウエアを開発することを目指しており、実現すれば世界的にも例のない最先端CCS製品群が誕生することになる。同社が得意としているコンソーシアム形式で開発を進める予定で、来年の1−3月期にも正式にメンバー募集を開始したいとしている。
  • 分子機能研究所が完全GUIベースでGaussian/ONIOM法に対応
     2005.12.28−分子機能研究所(埼玉県三郷市、辻一徳代表)は、加ハイパーキューブの分子モデリングシステム「HyperChem」を用いて、分子軌道法プログラム「Gaussian」を完全なグラフィック環境で利用できるようにするソフトウエアを開発、「Gaussianインターフェース・フォア・HyperChem」および「ONIOMインターフェース・フォア・レセプター」の名称で販売開始した。とくに、Gaussianに内蔵されているONIOM法を簡単に駆使できるようにするソフトは世界でも初めてだという。価格は、通常のGaussianインターフェースが7万円、ONIOM対応版が11万円。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • NTTレゾナントとジャストシステムが検索キーワード入力支援技術で提携
     2005.10.29−インターネットポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナント(資宗克行社長)とジャストシステムは27日、相互に技術提携をし、日本語変換システム「ATOK」の先進的な機能を検索キーワード入力の支援に利用できるサービスを開始したと発表した。ひらがなを一字一字入れるごとに人名や名所などの変換候補が自動的にプルダウン表示されるので、調べたいものの漢字がわからなくても正確な検索ができる。入力されたキーワードはサーバー内で流行語辞書として蓄積され、将来のATOKの新バージョンに反映されることになっている。
  • マイクロソフトのバルマーCEOが来日会見、Liveサービスの収益性に自信
     2005.11.17−米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)が来日し、16日に都内で記者会見を行った。同社の日本法人は今年が設立20周年であり、「日本発の創造性や革新がいまのマイクロソフトの発展に大きく寄与した。日本人はIT(情報技術)を愛し、技術革新を積極的に受け入れる国民であり、日本はこれからも当社の成長にとって最も重要な市場であり続ける。デジタルライフスタイルとデジタルワークスタイルの両面でさらなる革新を提供したい」と述べた。
  • 英キャッシュロジックがP2P管理ソリューション、合法的P2P拡大に対応
     2005.11.25−英キャッシュロジック(本社・ケンブリッジ)は、インターネット事業者向けにピアツーピア(P2P)トラフィックを管理するための最新ソリューションを国内で販売開始する。ネットワークにおけるP2Pの影響を正確に把握し、コントロールすることによって、ユーザーのサービスレベルを低下させることなく、コストの削減を図ることが可能。ソリューションは2種類のアプライアンスから構成されており、代理店を介して販売を行う。
  • リナックスネットワークスがLinuxベースのスーパーコンを発売
     2005.12.09−リナックスネットワークス(本社・東京都港区、中曽根悟社長)は8日、Linuxベースのスーパーコンピューター「LSシリーズ」を国内で本格的に販売開始すると発表した。業界標準のコンポーネントを組み合わせることで本格的な性能を安価に提供できることが特徴。最大100テラFLOPS(1テラFLOPSは毎秒1兆回の浮動小数点演算)までのスケーラビリティーを持つ「LS/X」と、使いやすいミッドレンジの「LS-1」の2機種があり、自動車やライフサイエンスなどの分野に売り込んでいく。
  • アスペンテックジャパンが運転方針検討用オペレーター向けシミュレーター
     2005.12.14−プロセス産業専門IT(情報技術)ベンダーのアスペンテックジャパンは、製造現場のプラントオペレーターがプロセスシミュレーションを実施することにより、運転方針の検討を手軽に行えるようにする新しいソリューションを開発し、販売を開始した。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)にエクセルを採用しており、流量を変えたり温度を上げたりすると製品の収率がどう変わるかなど、エクセルだけの操作で予測が行えるため、だれにでも使いやすい。プラント設計時に作成したプロセスモデルを利用できるので、最短では数週間から1ヵ月程度で導入できるのもメリット。海外では、2−5%の運転コスト削減に成功した例もある。

 

 


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