CCSニュースファイル
   1999年10−12月

  • CCS特集第1部

·         CCS業界動向

·         土井プロジェクトレポート第2回

·         仮想実験技術プロジェクト

  • CCS特集第2部

·         バイオインフォマティクス

·         DNAチップ/マイクロアレイ

 1999.10.29−NEC基礎研究所の高田俊和主席研究員らのグループは、分子軌道法と分子動力学法を統合し、化学反応などの様子をコンピューター上で“観察”することを可能にするコンピューターケミストリーシステム(CCS)である「バーチャルマイクロスコープ(AMOSS-H11)」をオープンソース化し、広く無償で提供をはじめた。情報処理振興事業協会(IPA)の創造的ソフトウエア育成事業のもとで、富士総合研究所・計算科学技術研究センターなどと共同で開発されたものをベースに、さらに改良が加えられている。プログラムの頒布は、萌芽的ソフトの育成を目的とする産官学の共同組織である産業基盤ソフトウエア・フォーラム(SIF)を通じて行われる。

 1999.11.21−住商エレクトロニクスは、ソフト会社のピュアブレイン(本社・福岡市東区香住ヶ丘6-31-17、簑原卓也社長)と共同で試薬管理システムを開発、販売を開始した。バーコードと電子天びんとの連動で毒劇物でも安全に適正管理できる。化学構造式を扱う機能が付加されており、管理用から研究用まで幅広く利用することが可能。ウィンドウズ98使用のパソコンで動作し、価格は80万円から。

 1999.11.25−欧州のコンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手ベンダー、オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)の製品を扱う国内代理店五社が販売面で協業することで合意、富士通とソニー・テクトロニクス、帝人システムテクノロジー(TST)が医薬品開発向けソリューションで、TSTと三井情報開発がバイオインフォマティクスでそれぞれ共同マーケティングを開始した。OMGはここへ来て、買収・合併で拡大した製品体系の統合を図りつつあり、日本側もグループとしての総合力を発揮することを期待されている。

 1999.11.30−帝人システムテクノロジー(TST)は、ハンガリーのソフト会社であるコンピュードラッグ(本社・ブダペスト、フェレンス・ダルバシュ社長)と販売代理店契約を結び、新薬開発を支援するソフトウエア「PALLASシリーズ」(商品名)の販売を開始した。新薬の候補化合物の構造から薬物設計に役立つ重要な物性を計算したり、毒性や代謝物質を予測したりする機能を持っている。ウィンドウズパソコンで動作し、ソフト価格は約47万円から。 

 1999.12.13−米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるモレキュラーシミュレーションズ(MSI)は、アミノ酸配列のホモロジー検索からたん白質立体構造の予測、そのたん白質の機能推定まで、新薬を開発するためのジェノミックス研究の一連の作業をアウトソーシングする新サービスを開始する。ユーザーは、知りたいたん白質が含まれたゲノム情報をMSIに提供するだけで、最先端ソフトを利用して解析された結果を受け取ることができる。「ファンクショナルジェノミックスコンソーシアム」の名称で会員を募集し、来年から本格的に立ち上げる予定。国内では総代理店の菱化システムを通して提案活動を開始しており、費用は年間3,000万円から。

 1999.12.13−コンピューターケミストリーシステム(CCS)大手の米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)とインテルは、インテルの次期プロセッサーである「Itanium」(アイテニアム)向けに分子シミュレーションプログラムを移植することで提携した。密度汎関数法の「Dmol3」と第一原理分子動力学法の「CASTEP」が対象になっており、アイテニアムマシンが登場すると予想される2000年下半期には製品化されるとみられる。 

 1999.12.21−ケイ・ジー・ティー(KGT)は、加ハイパーキューブ社の分子設計支援システム「HyperChem」(ハイパーケム)を核に、分子軌道法計算のソリューションを拡大する。HyperChemに統合させて使用できる米キューケムの「Q-Chem for Windows」、富士通が開発した「MOPAC2000 for Windows」をセットにして販売していく。分子軌道計算は化学反応などに関係する電子状態を調べることができるため研究者の間で需要が高まっている。HyperChemから利用することで計算の操作が簡単になるので、利用者の拡大に寄与すると期待される。


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