CCSニュースファイル
   2017年7−9月

  • 米シュレーディンガーが武田薬品工業と共同研究契約を締結
      2017.07.26−米シュレーディンガーは20日、武田薬品工業と複数の創薬標的に関する複数年の共同研究契約を結んだと発表した。武田薬品が重点疾患領域とする複数の創薬標的に関する構造生物学情報(タンパク質結晶構造)を提供し、シュレーディンガーがそれに基づいた創薬研究を実施する。具体的な成果が得られた場合、武田薬品は対象プログラムの開発・販売に関する独占的なオプション権を有するかたちになる。
  • 東工大・長崎大の研究グループがスマート創薬で成果、NTDsに対応
      2017.08.01−東京工業大学科学技術創成研究院スマート創薬研究ユニットの関嶋政和准教授(ユニットリーダー)、東京工業大学情報理工学院情報工学系の秋山泰教授、長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科の北潔教授(研究科長)らの研究グループは7月27日、計算と実験を効果的に組み合わせるスマート創薬手法により、“顧みられない熱帯病”(NTDs)に有効と考えられる4個のヒット化合物を発見したと発表した。シャーガス病やリーシュマニア病などの原因となるトリパノソーマ科寄生原虫の創薬標的であるスペルミジン合成酵素をターゲットとしたもので、ハイスループットスクリーニング(HTS)と比べて20倍以上高いヒット率で今回のヒットを得ることができたという。
  • 富士通九州システムズが薬物動態パラメーター算出ツール
      2017.08.01−富士通九州システムズ(FJQS)は7月28日、非線形最小二乗法による当てはめ計算により薬物動態パラメーターを算出する「DDI Simulator フィッティングツール」を製品化し、販売開始したと発表した。複数の薬物が体内で相互作用し、作用を増強・減弱するかを予測するシミュレーションに必要な薬物動態パラメーターを算出することができる。薬学教育にも利用できることから、独立したパッケージソフトとして製品化することにした。価格は年間使用権で40万円から。アカデミック向けは同20万円からとなっている。
  • 東工大が中分子対象のIT創薬研究拠点、川崎市との連携で事業化へ
      2017.08.05−東京工業大学は7月31日、IT創薬技術と独自のペプチド合成技術などを融合した中分子IT創薬研究拠点を、川崎市の殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」に設立すると発表した。東工大と川崎市が共同で提案した「IT創薬技術と化学合成技術の融合による革新的な中分子創薬フローの事業化」が、文部科学省の「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」に採択されたもの。年間1億5,500万円の補助金を利用して成果を目指す。中分子創薬分野にIT創薬の研究手法を導入する試みは独自性が高く、その専門施設は世界初になるという。
  • シュレーディンガー日本法人が材料科学への取り組みを強化
      2017.09.01−シュレーディンガーは、国内で材料科学向けのモデリング&シミュレーションを強化する方針で、日本法人の技術サポート体制を強化。パッケージソフトとして、「Materials Science Suite」を提供しており、GPU(グラフィックプロセッサー)に対応した分子動力学シミュレーションで実績を増やしている。また、受託計算や受託研究などのニーズにも対応しているほか、社内で独自に研究も行い、その成果などを学会発表していることでも注目度が高い。
  • 富士通がポスト「京」の開発状況を公表、OSSベースでエコシステム
      2017.09.06−富士通は、文部科学省の「フラッグシップ2020プロジェクト」で開発中の次期スーパーコンピューター「ポスト『京』」の開発状況の一端を公表した。同社が事務局を務める「サイエンティフィック・システム研究会」(SS研)の公開フォーラム(8月30日開催)で講演したもの。プロセッサーにSPARCを採用した「京」に対し、ポスト「京」ではARMを採用することがすでに伝えられているが、今回は主にソフトウエア面での開発の進捗状況が示された。オープンソース中心のエコシステムの構築を狙っており、最終的にはハード、OS、ミドルウエア、コンパイラー/ツール、アプリケーションのあらゆる階層がマルチベンダー化されるという。
  • MI2Iがプロジェクト推進体制を強化、DB拡充で有償サービス化も検討
      2017.09.22−情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I、エム・アイ・スクエア・アイ)は、プロジェクトの3年目に入り、推進体制を大幅に強化した。13日に開催された「第5回MI2Iフォーラム」で公表したもので、マネジメントチームに加え、実際に研究を行うグループも再編・拡充されている。また、材料インフォマティクス(MI、マテリアルズインフォマティクス)のための基本的なデータ源となる物質・材料データベース「MatNavi」も充実し、来年度からは有償でのサービスに乗り出す計画も温めている。
  • エルゼビア・ジャパンがプロフェッショナルサービス、データ統合など受託
      2017.09.28−エルゼビア・ジャパンは、欧米の製薬・化学メーカーで需要が増えているプロフェッショナルサービスを、国内でも本格的に実施していく。企業の内外に分散している各種データソースをまとめ、漠としたデータから的確な知識を引き出すことを目的としたもの。同社が培ってきた高度なデータインテグレーション技術、データアナリシス技術を駆使して、顧客ニーズにカスタム対応する。
  • 富士通九州システムズが「ADMEデータベース」をバージョン48に更新
      2017.09.29−富士通九州システムズ(FJQS)は、10月1日から「ADMEデータベース」のコンテンツを更新し、バージョン48として提供開始すると発表した。医薬品開発で参照されることが多い薬物代謝や薬物相互作用の情報を文献などから収録したもので、今回は約160の文献からのキュレーションにより、約1,500件の非臨床薬物代謝データと、約180件の臨床薬物相互作用データを追加している。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • デルが中堅企業向けクラウドサービス、クラウド事業者3社と協業
      2017.07.01−デルは6月30日、中堅企業のクラウド利活用を促進するため、ラクス(東京都渋谷区、中村崇則社長)、カゴヤ・ジャパン(京都市中京区、北川貞大社長)、エックスサーバー(大阪市北区、小林尚希社長)との協業に基づくサービスを開始すると発表した。クラウドサービスに移行しやすい業務を選んでメニュー化したことが特徴。中堅企業専任の「インサイドセールス」部隊を50人増員し、それぞれの顧客に合わせた最適な提案を行う。
  • マカフィーがAWS向けセキュリティソリューション、侵入防御など高度な機能
      2017.08.25−マカフィーは23日、「Amazon Web Service」(AWS)に対応したセキュリティソリューションを開発し、その無償トライアルプログラムを国内でも提供開始すると発表した。これは、次世代IPS(侵入防御システム)の仮想版としての「McAfee Virtual Network Security Platform」(McAfee vNSP)で、攻撃者がAWS上のワークロードに侵入することを防御できる。無償トライアルでは、実際に発生する攻撃のシミュレーションやポリシー設定、レポート用ダッシュボードの閲覧機能を利用することが可能。IaaSとしてAWSを利用するユーザーを対象にしている。

 

 


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