CCSニュースファイル
   2000年1−3月

  • CCS特集

·         総論「土井プロジェクトレポート第3回」

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 2000.01.05−コンビナトリアル材料科学のシステムベンダーである米シミックス社(本社・カリフォルニア州、スティーブン・ゴールドビーCEO)が、このほど米NASDAQに上場した。同社株は、当初一株当たり14ドルで売り出されたが、現在では約30ドル強の水準で取り引きされている。

 2000.01.17−医薬向けコンピューターケミストリーシステム(CCS)大手の米トライポス社は、ハイスループットスクリーニング(HTS)技術を生かした創薬研究のための新しいCCS開発で、製薬大手ワーナー・ランバートグループのパーク・デイビス社と共同開発契約を結んだ。3年にわたる数100万ドルのプロジェクトで、大量の候補化合物のスクリーニングデータの解析・解釈・追求を通して、前臨床段階までの開発期間を大幅に短縮させるための情報システム技術の確立を目指す。プロジェクトの成果物は、将来的には商用ソフトとして販売される予定。

 2000.01.19−遺伝子/バイオインフォマティクス関連のシステムベンダー、米パンジアシステムズ社がビジネスモデルをインターネットベースに全面転換し、今月から開始した遺伝子データベース(DB)関連のポータルサービス「ダブルツイスト」の開始に合わせ、社名も「ダブルツイスト社」に変更した。世界中に散在している関連DBを一括して検索できるのが特徴で、遺伝子研究を大幅に簡素化し、スピードアップできる。

 2000.01.21−日本MDLインフォメーションシステムズは、研究所の合成研究者が必要な試薬を簡単に選び出せるシステム「リージェントセレクター1.2」(商品名)を2月から販売開始する。社内および外部のデータベース(DB)から、物性や価格、サプライヤーなどの情報をもとに欲しい試薬を絞り込むことができる。今回の最新版では、とくに試薬の発注機能が強化され、使い勝手が大幅に向上している。代理店のCTCラボラトリーシステムズを通して製薬会社向けなどに売り込んでいく。

 2000.01.21−通産省工業技術院物質工学工業技術研究所が1982年から構築を続けてきている化学物質のスペクトルデータベース(DB)「SDBS」が世界中で評判になっている。97年から本格的にインターネットで公開(http://www.aist.go.jp/RIODB/SDBS/)したところ、研究者の間に徐々に口コミで広がり、昨年になって利用数が急増。アクセス総数は400万件を越えた。工技院は「RIO-DB」の名称で各研究所が蓄積した30数種類のDBを公開しているが、多いときには全体のアクセスの60%がSDBSに集中することもあるという。9割近くが海外からのアクセスであり、とくに米国からが約半数を占めている。

 2000.01.27−日本MDLインフォメーションシステムズは、創薬研究で行われる生物学的アッセイ(評価分析)実験をリレーショナルデータベース(RDB)で統合管理することができる「アッセイエクスプローラー」(商品名)を発売した。アッセイロボットを利用するハイスループットスクリーニング(HTS)などの場合、データが大量になるため最初からDB管理が前提になっているが、それ以後の二次アッセイから動物実験にいたるまでの総合的なアッセイ系を統一的に管理するソフトはこれまでになかった。ムダな実験を減らせるほか、実験のプロトコルの統一化が図られ、データのセキュリティも向上するというメリットがある。GLP(医薬品安全性試験実施基準)などの法規制の上でも有効性が高いという。

 2000.01.27−富士通は、バイオインフォマティクス、ゲノム関連の研究者およびベンダーを支援するため、インターネット上のサービスサイトとして「netlaboratory.com」を1月31日から開設する。また、このオンラインサービスをフォローするオフライン拠点として幕張システムラボラトリ内に「ネットラボラトリー・フォア・バイオインフォマティクス」を設置した。研究やビジネスを活性化させる“場”を提供することを目的としており、2004年に100万人の会員を集める計画だ。

 2000.02.01−バイオインフォマティクス関連のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーである米モレキュラーアプリケーショングループ(MAG)が数ヵ月以内に解散することが明らかになった。製品群は昨年末までに他のベンダーに売却されており、今年からはすでに活動停止の状態にある模様。国内では、菱化システムが総代理店を務めているが、MAGとの間で既存ユーザーへのサポートを継続できるよう話し合いはつけたという。新規の販売はもう行わない方針。

 2000.02.02−英AWE社が排水中の重金属を効率的に除去できる新しい分子を開発した。ティーカップのような形状をしたカリキサレンと呼ばれるタイプの分子で、カドミウムや鉛、水銀、ウラニウムなどの金属を捕捉して強固な錯体を形成することがわかったという。オックスフォード大学などと共同で研究していたもので、開発に当たっては米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)のコンピューターケミストリーシステム(CCS)が活用された。

 2000.02.09−バイオインフォマティクス関連のIT(情報技術)ベンダーである独ライオン・バイオサイエンス社は、米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるトライポス社に対して株式投資を行い、強固な戦略提携を結んだ。ライオンの持つバイオインフォマティクス技術とトライポスのケムインフォマティクス技術を合体させ、ゲノム情報を活用した新薬の研究開発を支援する新しいソフトウエアを共同開発していく。

 2000.02.15−富士通は、15日からコンピューターケミストリーシステム(CCS)製品群の値引きキャンペーンを開始した。分子軌道法をベースにした分子モデリングシステム「WinMOPAC」の半額での提供など、20-50%の割引価格を適用する。

 2000.02.17−米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるモレキュラーシミュレーションズ社(MSI)は、このほど計算材料科学に関連した研究者・技術者のためのインターネットサイト「Mat Hub」(http://www.mathub.com)を開設した。無料で会員登録したあと、いろいろなコンテンツもすべて無料で利用できる。MSIの製品にこだわらず、材料系CCS関連情報を広く収集。最近では、医薬を中心としたライフサイエンス分野に対して、材料分野は応用展開がやや停滞気味であり、いろいろな情報を集め研究者の便宜を図ることによって、気運を盛り上げようとの狙いがあるものとみられる。

 2000.02.25−帝人システムテクノロジー(TST)は、米国の受託試験機関であるアブソープションシステムズ(本社・ペンシルバニア州、パトリック・デンティンジャー社長)と総代理店契約を結んだ。とくに、化合物の溶解度やlogD(脂溶性)、膜透過係数、代謝特性など、新薬開発において有力な候補化合物の絞り込みに役立つデータを提供する。最近、製薬会社ではコンビナトリアルケミストリーやハイスループットスクリーニング(HTS)技術の普及により数多くの候補物質を扱うようになった結果、有力候補ををいかに短期間に絞り込むかが問題になってきている。今回は、その部分のアウトソーシングにフォーカスしたサービスを展開しようというもの。

 2000.02.25−日本バイオ・ラッド ラボラトリーズのサドラー事業部は、赤外(IR)スペクトルのデータベース(DB)で、新しい販売方式を導入する。「Have It All IR」の名称で、期間や回数を区切って全DBを手頃な価格で利用できるようにするもの。日常的にではなく、研究内容に応じて折りにつけてスペクトル検索をしたいというユーザーに最適。これにより、利用者の拡大を図っていく。

 2000.03.03−独立系コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーのナノシミュレーション(本社・千葉市、桑島聖代表)は、分子動力学法(MD)を使って、液晶デバイスの応答速度に関係する重要な材料物性である“回転粘度”をシミュレーションで求めることに世界で初めて成功した。液晶材料の大手メーカーである独メルク社との共同研究で実現したもの。将来の壁掛けテレビなどの実用化のためには、ますます応答速度の速い液晶が求められており、MD計算で重要物性が予測できるようになれば、次世代の材料開発に大きく寄与すると期待される。

 2000.03.10−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、米モレキュラーウエア社(本社・マサチューセッツ州、セス・テイラー社長)と代理店契約を結び、DNAチップおよびマイクロアレイ関連のデータ管理から解析までを一元的に行うシステム「デジタルゲノム」(商品名)を販売開始した。あらかじめ培養してプレート上に抽出しておいたDNA断片を、ガラス基板にアレイ状にスポット移植するまでの各データを完全にトラッキングでき、狙いどおりにスポット装置をコントロールするためのファイルを出力してくれる。汎用的なリレーショナルデータベース(RDB)システムを下敷きにしているため、同社ではゲノム関連の研究で発生するさまざまな情報を統合管理するシステムにカスタマイズする要望にも応えていく。

 2000.03.16−富士通は、欧州のコンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手ベンダーである英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)から分子設計支援システム「CAChe」(商品名)に関する全ビジネスを買い取った。4月1日からCACheの開発および販売の全権が富士通に移管される。欧米のCCSベンダー同士の買収・合併は以前から盛んだが、国内ベンダーが欧米ベンダーから事業を取得するのは初めて。今回、CACheの3,000サイトにおよぶユーザーベースと、欧米を網羅する販売・マーケティングの強力なチャンネルを入手したわけで、富士通のCCS事業は一気に世界規模に広がったことになる。

 2000.03.23−帝人システムテクノロジー(TST)は、スイスのソフトベンダーであるジーンデータ社(本社・バーゼル、オスマー・ファネスCEO)と販売代理店契約を締結し、同社のバイオインフォマティクス製品群の国内販売を開始した。DNAチップ/マイクロアレイの発現解析からプロテオミックス、全遺伝子解析などの最先端の研究に要求される高度なシステム環境を提供でき、複雑な整理活性機能の早期解明を強力に支援することが可能。サーバーにSGI、クライアントはウェブブラウザーを使用する。

 2000.03.27−米国の創薬ベンチャーであるファーマコピア社は、英国に本拠を置くコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるシノプシス・サイエンティフィックシステムズ社を買収した。買収額は約2,500万ドルになり、1998年2月に1億4,000万ドルで買収した米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)に続いて、CCSベンダーを傘下に収めたことになる。MSIが分子モデリング/計算化学を得意としているのに対し、シノプシスはケムインフォマティクス領域で実績をあげており、CCS技術としても相互に補完できる関係にある。CCSを巡っては、年初から買収・再編が連続しており、今年は激変の年となりそうだ。


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