CCSニュースファイル
   2001年1−3月

  • CTCLSが独ライオンのゲノム比較研究ツールを発売
     2001.01.08−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、独ライオン・バイオサイエンス社のゲノム研究ツール「genomeSCOUT」(ゲノムスカウト)の国内販売を開始した。遺伝子全体の組織や機能に関する洞察を得るためのソフトウエアで、急速に拡大する遺伝子配列データのなかから、今後の研究の方向性を見定めるための重要な知識を抽出することができる。CTCLSは、バイオインフォマティックス事業でライオン製品を主力に位置付けており、ゲノム情報を創薬に利用しようという製薬会社を中心に拡販を目指す。
  • 住商エレが米リードスコープの創薬研究用データマイニングツール
     2001.01.16−住商エレクトロニクスは、米リードスコープ社(本社・オハイオ州、アレン・リコンCEO)と販売代理店契約を締結し、大量の化合物のなかから有望な新薬候補を探し出すデータマイニングソフトウエア「LeadScope」(商品名)の販売を開始した。化学構造に着目してデータの絞り込みを行えるので、コンピューターに不慣れな実験や合成の研究者にも使いやすいのが特徴。ウィンドウズパソコンで利用でき、ソフトウエアの年間使用料金は初年度1ユーザー170万円から(2年目からは150万円から)。同社では、トライポスやサイビジョンなど各種のCCS(コンピューターケミストリーシステム)製品群を取り扱っており、それらと組み合わせたインテグレーションビジネスも推進していく。
  • 栄研化学と富士通が遺伝子増幅技術向けソフト共同開発で提携
     2001.01.23−臨床検査薬大手の栄研化学と富士通は、遺伝子診断の基本技術とされる遺伝子増幅技術開発で提携した。栄研化学が開発した“LAMP法”(ランプ法)におけるプライマー(複製を開始させるために必要な短いDNA)を設計するための専用ソフトを共同開発し、同技術の普及、ソフトの販売で協力していく。富士通は3月末までにプロトタイプを完成させ、栄研化学側でのプログラムの評価を経て、年内に製品化を実現する予定である。
  • オリンパス光学と三井情報が生体分子コンピューティングでベンチャー
     2001.01.24−オリンパス光学工業と三井情報開発は、生体分子コンピューティング技術を応用し、医療・ヘルスケア産業で求められる遺伝情報解析のための生体情報計測技術の開発と受託解析サービスを行うジョイントベンチャー「ノバスジーン」を3月1日に設立することで基本合意した。オリンパス光学工業の計測技術と三井情報開発のバイオインフォマティックス技術を統合し、当面はゲノム創薬や臨床医学研究などの分野に向けて、SNPs(一塩基多型)解析、発現プロファイル解析などのサービスを提供していく。2003年度に10億円、2005年度に60億円の売り上げを計画している。
  • ベストシステムズが国産プログラムを振興するMolWorksを開発
     2001.02.08−ベストシステムズ(本社・茨城県つくば市、西克也社長)は、国内の大学や研究機関で開発されたコンピューターケミストリーシステム(CCS)関連のプログラム群を共通のプラットホーム上で統合化できる「MolWorks」(モルワークス)を製品化し、販売を開始した。最終的には、物質設計から物質合成、コマーシャル生産、販売まで分子・材料開発のライフサイクル全体を見通したR&D戦略の立案を支援する総合的機能を実現することを目指していく。完全にJavaで開発されており、どんなOS(基本ソフト)環境上でも同一の機能、同一の操作性で利用することができる。価格は1万5,000円(アカデミック1万円)という激安価格を設定しており、電卓のように手軽に使えるツールとして広く普及させていく考えだ。
  • 豊橋技科大・船津助教授らが合成経路設計システムを無償公開
     2001.02.27−豊橋技術科学大学の船津公人助教授らのグループは、有機化合物を合成するための反応経路を自動的に探索するコンピューターケミストリーシステム(CCS)を開発、完成した一部機能の無償での頒布を開始した。これら合成経路設計支援システムは1980年代前半まで欧米で活発に開発が試みられたが、困難さゆえに現在も開発を続行しているグループは世界にも数が少ない。船津助教授らは相互補完的な3つのシステム群を開発しており、実際の有機合成の現場での実用性も高まってきている。反応経路予測の精度をさらに高めるためには有機合成研究者の協力やノウハウ提供が不可欠であり、プログラム公開を通して利用者の裾野を広げ、研究体制を強化したいという狙いもある。
  • 富士通と三菱化学がゲノム創薬などバイオ分野の協業で合意
     2001.03.06−三菱化学と富士通は、バイオテクノロジーとIT(情報技術)を融合し、それぞれの事業強化と新しいビジネス創出を目的として協業することで合意した。三菱化学が富士通のバイオインフォマティックス技術を利用してゲノム創薬事業に取り組む一方、富士通も協業から得たノウハウをフィードバックしてバイオインフォマティックス事業のさらなる発展を目指していく。具体的な共同研究のテーマや新事業展開の方針については、今後数ヵ月間をかけて検討を進めて行く予定。
  • 米トライポス:マッカリスター社長インタビュー
     2001.03.07−コンピューターケミストリーシステム(CCS)の大手ベンダー、米トライポス社は事業構造の再編を完了し、新たな成長路線に乗った。新薬開発を幅広い側面と多様な角度から包括的にサポートできる体制を築いている。ジョン.P.マッカリスター社長兼CEOは、「ソフトウエア事業、化合物販売事業、コンサルティング事業、受託研究事業−の4部門がようやく固まった。長年の実績のあるソフトウエア技術を基盤にしながら、今後はコンサルティングと受託研究を伸ばし、3年後にはこれらで売り上げの半分以上を占めるようにしたい」と話す。同社の強みと新戦略について聞いた。
  • 米IBMがライフサイエンス市場向けのコンサルティング事業を開始
     2001.3.13−米IBMは、ライフサイエンス向けのコンサルティング事業を開始した。バイオテクノロジー企業および製薬会社の研究開発を支援することを目的としており、データ管理、ナレッジマネジメント、eビジネスなどにおけるコンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシングなどのサービスを行っていく。これらの新しいサービスは世界的規模で提供される。
  • R&D支援システム特集
     2001.03.23−情報革命が研究開発(R&D)の世界にも押し寄せている。インターネットの発達や実験などの自動化技術の進歩により、R&Dに役立てて利用できる「情報」「データ」が質量ともに飛躍的に増大してきている。そこで注目されているのが、大量のデータを蓄積・管理し、検索や分析を通して情報の有効活用を促す“インフォマティックス”技術だ。化学や医薬のR&Dにおいては、バイオインフォマティックス、ケムインフォマティックスなどのIT(情報技術)が脚光を浴びつつある。
    菱化システム : CTCラボラトリーシステムズ : ケイ・ジー・ティー
  • コンビナトリアル材料科学の独hteが米国にラボを開設
     2001.03.26−触媒開発のアウトソーシングサービスを提供している独hte社(本社・ハイデルベルグ、ディルク・デームート社長)は、このほど米国ニュージャージー州プリンストンに研究施設を設けた。同社は高度な自動化技術を利用した“ハイスループット実験”(HTE)を通して、コンビナトリアルケミストリーの考え方をもとにした新しい触媒開発プロセスを実用化している。ハイデルベルグの本社研究所は不均一触媒を対象にした研究を行っているが、今回の米国拠点は均一触媒を専門にしたもの。欧米でラボが整ったことと、対象とする触媒の範囲が広がったことで、さまざまなニーズに応えることが可能になった。
  • コンパックがバイオベンチャーの財政的支援制度を日本でも開始
     2001.03.30−コンパックコンピュータは、ゲノム、バイオインフォマティクス関連のベンチャー企業を支援する投資プログラムを日本においても開始する。昨年9月に米国本社において開始したもので、総額1億ドルの規模。対象企業への直接投資と、同分野を対象とするベンチャーキャピタルファンドへの投資を組み合わせて実施する。高性能コンピューターを中心としたソリューション提供に加えて、財政的な支援も行うことで、有望なバイオベンチャー企業の早期立ち上げを助けることを目的としている。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 米エンジニアスソフト:デニス・ネギー社長インタビュー
     2001.01.10−近年、コンピューターを利用した研究開発が一般的になるなかで、多くのソフトウエアを協調的に動作させたり、より最適な解を求めたりする技術に注目が集まっている。この分野をリードしているベンダーが「iSIGHT」(商品名)を持つ米エンジニアスソフトウエア社で、世界に120社のユーザーがあるが、そのうちの40数社が日本企業。日本市場の売り上げが全体の40%を占めている。化学・材料関連ではプラスチックの射出成形、化学プロセスの最適化、金属・合金設計などの用途で威力を発揮しているという。「ソフトウエアの統合と最適化で、うまく使えば20年の研究期間を1年にも短縮できる」と述べるデニス.A.ネギー社長兼CEOに新戦略を聞いた。
  • 米アスペンテックがChemCross.ComにSCMソリューションを提供
     2001.01.11−プロセス産業向けサプライチェーンマネジメント(SCM)ベンダー、米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、アジアの化学産業向けeマーケットプレースであるケムクロス・ドットコム(ChemCross.Com)とライセンス契約を結んだ。eマーケットプレース上でサプライチェーンを最適化し、ビジネスプロセスを自動化・統合化するための基盤技術を提供する。すでにシステム構築はスタートしており、アスペンテックの技術を利用したサービスは年内には開始される予定となっている。ケムクロスには日本の化学会社も参加しているため、日本法人のアスペンテックジャパンではこれらの社内システム向けにもソリューション提案を行っていく。
  • コンパックがWeb用3Dコンテンツ制作ソリューションシステムを発売
     2001.01.18−コンパックコンピュータは、三洋電機およびマジックアワーと共同でインターネット用の三次元(3D)コンテンツを簡単に制作できるソリューションシステム「Compaq Creation Studio」(コンパック・クリエーションスタジオ)を開発した。ウェブ上に仮想展示室を設け、リアルな商品見本を披露したいといったニーズに簡単に応えることができる。必要なハードウエアや周辺機器、ソフトウエア群がトータルでセットになっており、価格は198万円。2月上旬から出荷を開始する。
  • インフォテリアがアリバ専用B2Bサーバーを開発
     2001.02.5−インフォテリア(本社・東京都品川区、平野洋一郎社長)は、日本アリバが提供している企業間取引ネットワーク「Ariba Commerce Service Network」(ACSN)に接続するための専用装置「Asteria.Planet for Ariba」(アステリアプラネット)を開発、今年の第2四半期から提供を開始する。中堅・中小事業者向けの統合ソリューション製品で、同装置を導入するだけでACSNに簡単に接続し、そのサービスに参加することができる。価格は未定だが、数100万円程度の価格帯だと予想される。
  • アスペンテックジャパンがアジア地区で相次ぎSCMスイートを受注
     2001.02.06−プロセス産業専門のIT(情報技術)ベンダーであるアスペンテックジャパンは、今年に入って日本およびアジア市場でサプライチェーンマネジメント(SCM)の統合システムを相次ぎ受注した。食品容器メーカーのエフピコ、韓国の暁星グループ、タイのサイアムポリオレフィンの3社。欧米ではSCMをトータルシステムで導入するのは普通だが、日本などではこれまでは部分的な導入にとどまっており、サプライチェーン全体の最適化に踏み込むケースはまれだったという。同社では、日本を含むアジアでもSCM本格導入の機が熟してきたとして販売戦略を強化していく。
  • サン・マイクロシステムズ:デイビッド・ジー副社長、Sun TechDays基調講演
     2001.02.09−サン・マイクロシステムズは、2月6日と7日の2日間、ソフトウェア開発者向けコンファレンスの「Sun TechDays」を開催した。米本社からソフトウェア部門のデイビッド・ジー副社長が来日、基調講演に登場し、そのあと記者懇談会を行った。社会全体がインターネット経済に移行していること、コンピューターのソフトウェアやサービスが大きなパラダイムシフトの最中にあることを強調した。その中で、サンはネットワーク社会を支える技術とサービスを提供するリーダーであり続けると述べた。
  • メディアヴィジョンがCorelDRAW10グラフィックスイートを発売
     2001.02.15−メディアヴィジョン(本社・東京都千代田区、福田善康社長)は、カナダのコーレル社が開発したグラフィックソフトの最新版「CorelDRAW10」(コーレル・ドロー)日本語版を4月6日から発売する。ウェブパブリッシング機能を強化しており、共通のツールで出版・印刷物、ホームページ、PDFの3種類の出力を使い分けることができる。ウィンドウズ対応でソフト価格はフルスイートで8万8,000円。また、コーレル社は昨年までに大規模なリストラを実施しており、今後はグラフィック市場に経営資源を集中させていく方針を打ち出している。
  • マックワールド東京:スティーブ・ジョブズCEO基調講演
     2001.02.23−米アップル・コンピュータのスティーブ・ジョブズCEOは22日、千葉県・幕張の幕張メッセで開催中の「マックワールド・カンファレンス&エクスポ東京」(24日まで開催)で基調講演を行った。珍しくダークカラーの背広姿で登場したジョブズCEOは、マッキントッシュの最新技術から最新製品、アップル社の抱くビジョンまでを満員のファンの前で熱く語った。3月24日から出荷開始される最新OS「Mac OS X(テン)」における新機能、新しい“デジタルライフスタイル時代”における“デジタルハブ”としてのマッキントッシュの役割がますます増大すると述べた。
  • アットフューチャーが映像専門ポータルサイト「e-movie」を開設
     2001.02.27−アットフューチャー(本社・東京都千代田区、小菅秀雄社長)は、ユーザーが自由に映像を登録できる動画専門ポータルサイト「e-movie」を開設した。利用は無料で、だれでも簡単に自分で作成した映像ファイルを登録し、それを自由にストリーミング形式で閲覧することができる。一般ユーザーからたくさんの映像を集めるほか、自社でも韓国やタイ、米国などに拠点を設けてユニークな独自コンテンツを制作して公開していく。同社では、映像と同時でのバナー広告の配信や、このサイトを構成する技術を利用したコンサルティングやシステム構築事業などで収益をあげていく計画。
  • コンテンツ配信サービスの新会社アクセリアが設立、事業を開始
     2001.03.01−インターネットでコンテンツ配信サービスを手がける新会社「アクセリア」が設立され、3月1日からトライアルユーザーの募集を開始する。トラフィックを分散させ、ユーザーに近いところにサーバーを置くという観点から、自社のキャッシュサーバーを全世界に展開し、大容量のコンテンツをユーザーに効率よく配信するサービスを回線事業者(キャリア)やISP(インターネットサービスプロバイダー)などに提供していく。4月からの実質初年度で4億円の売り上げを見込んでおり、3期目から黒字転換を図るとしている。
  • パルティオソフトがソフトウエアの従量課金制を実現、開発キット無償で
     2001.03.13−パルティオソフト(本社・福島県郡山市、菅野和裕社長)は、使っただけの料金を払ってソフトウエアを使用する従量課金制でのソフトウエア販売を開始する。ユーザーはプリペイド方式で購入した“ソフトバッテリー”で許されただけソフトを利用でき、なくなったらインターネットを通じて新しい“ソフトバッテリー”を購入することで、引き続きソフトを使用することができる。同社では、既存のソフトウエアをこの方式に対応させる開発キットを無償で提供するとともに、バッテリーを販売するウェブサービスも合わせて開始する。
  • 米アスペンテック:クラインシュロウト上級副社長インタビュー
     2001.03.16−プロセス産業専門IT(情報技術)ベンダーの米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、化学品の電子商取引をインターネット上で提供する「e-Chemicals」(eケミカルズ)を買収した。パブリックなeマーケットプレースとしてサービスを継続すると同時に、この技術を生かしたプライベート向けのeマーケットプレースとしても販売を行っていく。インターネットビジネスグループ担当のフランク.J.クラインシュロウト上級副社長に、今回の戦略の背景と最近のeビジネスの動向について聞いた。
  • NECがインターネットビジネスBIGLOBEの2001年度事業戦略を発表
     2001.03.30−NEC(NECソリューションズ)は、インターネットサービス「BIGLOBE」の2001年度事業戦略を発表した。キャリア系事業者のISP(インターネットサービスプロバイダー)本格参入など事業環境が大きく変化するなかで、接続サービスを中心としたISP事業の位置付けが相対的に後退し、BIGLOBEならではの付加価値サービスを提供するASP(アプリケーションサービスプロバイダー)事業分野を一段と強化していく方針を示した。2003年3月期に会員数を1,000万人に拡大し、売り上げ1,300億円を達成する計画を立てており、そのうちの55%はASP分野からの売り上げになると予測している。  

 


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